逮捕された後の手続の流れ(送致・勾留から判決まで)

薬物事件が発覚して逮捕されると、「いつ家に帰れるのか」など、先の見通しが立たず不安になります。
刑事手続は、逮捕→勾留→起訴→裁判→判決、という順序で進み、期間の目安も決まっています。このページでは、薬物事件を例に逮捕から判決までの流れを弁護士が解説します。

逮捕~勾留(最大23日)

逮捕とは

逮捕とは、主に警察が被疑者の身柄を確保する行為をいいます。
犯罪の疑いと、罪証隠滅や逃亡のおそれがある場合に逮捕をすることができます。ポイントは、犯罪の疑いで足りる点と、罪証隠滅や逃亡のおそれが必要な点です。逮捕がされたからと言って必ず犯罪が立証されるわけではなく、逆に犯罪があっても罪証隠滅や逃亡のおそれがなければ逮捕はできません。

勾留とは

勾留とは、身柄拘束をした被疑者を留置施設に留め置く手続きをいいます。
厳密には逮捕と勾留は全く別の手続きですが、逮捕~勾留という身柄拘束がセットで行われるため、一般用語としてはあまり区別されません。

逮捕・勾留は、被疑者が逃亡をしたり罪証隠滅をすることを防止した状態で、捜査をするための身柄拘束です。捜査機関は、この身柄拘束期間の間に捜査を行って被疑者を起訴するか不起訴にするかを判断します。

期間制限

警察は、被疑者を逮捕してから48時間以内に被疑者の身柄を検察に送致します。検察は、被疑者の送致を受けてから24時間以内(かつ逮捕から72時間以内)に被疑者を勾留するか、釈放するかを判断する必要があります。逮捕も勾留も裁判所の許可が必要になります。
被疑者を勾留した後は、最大で20日間被疑者を勾留することができ、検察はこの期間中に捜査を完了させて起訴するか不起訴にするかを判断する必要があります。

この期間制限を整理すると次のようになります。

  • 逮捕~勾留決定まで:72時間
  • 勾留~起訴まで:20日

これを合計すると、逮捕されてから起訴・不起訴の判断がされるまでの最大の期間は23日となります。
実際には、逮捕された翌日には勾留されることが多く、最終日が土日祝日などの場合にはその前に起訴されるため、最大期間よりも数日短くなります。

起訴・不起訴

勾留期間中に捜査機関では、証拠収集や裏付け捜査などを行い、起訴・不起訴の判断をします。

起訴とは

起訴とは、検察官が裁判所に対し刑事裁判を求めることです。起訴には、次の2種類があります。薬物事件は、重い罪であるため基本的には正式裁判になります。

  • 正式裁判:公開の法廷で審理し、判決で有罪・無罪の判断がなされ、量刑を決めます。
  • 略式裁判:軽微な罪について、書面審理の簡易な手続きで量刑判断がなされます。被疑者が罪を認めている場合のみ選択でき、量刑も罰金・科料に限られます。

起訴をされると、捜査のための身柄拘束から、裁判のための身柄拘束に移行します(こちらも勾留と呼ばれます)。起訴後の身柄拘束については、捜査中の身柄拘束と区別するために、起訴後勾留と呼ばれることがあります。

起訴されて、起訴後勾留に移行すると、保釈に移行します。
※保釈については別のページで解説しています。

不起訴とは

捜査の結果、起訴の必要がないと判断された場合には、不起訴となります。
これについては次のケースがあります。

  • 嫌疑なし:犯罪事実はないと判断された
  • 嫌疑不十分:起訴できる程度の証拠がないと判断された(法的には犯罪が存在しなかったと言えます)
  • 起訴猶予:証拠は揃ったものの、罪が軽微であるなどの理由で起訴をしなかった

不起訴となった場合には、身柄拘束を解かれて釈放されます。

刑事裁判

起訴から初回公判まで(1~2か月)

起訴されると、被疑者から被告人、公判手続が始まります。
多くの場合、起訴から1~2か月で初回公判があります。この期間中に、弁護士と相談しながら裁判の準備をすることになります。
薬物事件では、使用や所持は証拠から明らかなことが多く、再使用のリスクなどが量刑に影響します。このため、準備期間中に依存症の治療の準備など、再使用のリスクがないと裁判所に納得してもらうための活動を行います。

初回公判から判決

薬物事件では、初回公判で結審することが多く、初回公判から2週間~1か月以内に判決が言い渡されることが多いです。

判決で実刑になった場合には、そのまま収監されることになります。
判決で実刑以外(無罪や執行猶予)になった場合には、すぐに釈放されます。一般的には、一度留置施設に帰った後で釈放されます(荷物などが留置施設にあるため)。

全体の手続期間

このように、逮捕~裁判まで、全体として3か月程度というのが、薬物事件で逮捕された場合の手続期間の目安となります。
ただし、薬物以外の事件が同時に発覚することも多く、その場合には期間が長くなることがあります。

よくある勘違い:逮捕=有罪ではない

逮捕は、あくまで捜査上の身柄確保の手段であり、有罪が確定したことを意味しません。起訴されないこともありますし、起訴された後も、裁判で無罪になることもあります。
また、処分や量刑は、前科・前歴、再犯防止策など複数の事情で変わります。有罪になっても実刑にならず社会生活に復帰できる可能性も高いです。

まとめ

薬物事件で逮捕された後は、逮捕→勾留→起訴→裁判→判決という流れで進みます。手続の各段階で、取調べ対応、保釈請求、再犯防止策などの準備をしていく必要があります。できるだけ早く弁護士に依頼をして、社会復帰のための方策を立てるようにしましょう。

この記事の執筆者
 寺岡法律事務所
 弁護士 寺岡健一(大阪弁護士会)