ビットトレント利用をめぐる発信者情報開示請求とは
近年、「ビットトレント(BitTorrent)」を利用したことで発信者情報開示請求を受けたという相談が増えています。特に、アダルトビデオ業界が積極的に発信者情報開示を進めており、本来の賠償額を大きく超える金額を支払ってしまったというケースも散見されます。ここでは、ビットトレントの仕組みと発信者情報開示請求の特徴、そして適切な対応について解説します。
ビットトレントとは
一般的に、違法アップロード・ダウンロードと言えば、誰かがサーバへデータをアップロードし、別のユーザーがそこからダウンロードする形が想定されます。アップロードした人物には故意が明らかで、責任追及もしやすい構造です。
一方、ビットトレントはファイル共有の仕組みが根本的に異なります。データが小さく分割され、利用者同士が直接やり取りする点が特徴です。ユーザーは作品をダウンロードすると同時に、その断片を他のユーザーへ自動的に提供(アップロード)する状態になります。つまり、ひとつの作品の流通に多数のユーザーが同時に関与する仕組みです。この点が、後述する発信者情報開示請求にも大きく影響します。
違法になるのか
ビットトレントというシステム自体は違法ではありません。しかし、実際には著作物を違法にアップロード・ダウンロードする手段として用いられることが多く、権利者が法的措置を取る事例が増えています。とくに「自分はアップロードしたつもりがない」という認識の利用者でも、仕組み上、自動的にアップロードに協力してしまう点が問題になります。
最近増えているトラブル
特にアダルトビデオ業界では、ダウンロードを理由とする発信者情報開示請求が活発です。作品データが断片化されているため、10分程度の作品でも数十人単位のユーザーが「アップロードに関与した」として請求対象となることがあります。
さらに、「家族や勤務先に知られたくない」という心理につけ込み、数十万円〜百万円程度の高額な示談金を提示され、そのまま支払ってしまうケースも珍しくありません。
適切な対応とは何か
① 発信者情報開示請求への対応
まずは、開示請求に対して適切に対応することが重要です。争う姿勢を示すことで、開示が認められない可能性も十分にあります。実際、証拠が不十分なケースや、権利侵害が明らかでないケースでは、開示が否定される例もあります。
早期に弁護士へ相談し、法的に妥当な反論を行うことが重要です。
② 請求への向き合い方
多数の相手に一斉請求を行い、一部が支払ってくれればよい——という対応をしている権利者も存在します。弁護士が代理人として争う姿勢を示すことで、請求側が態度を軟化させる、あるいは請求自体を断念することもあります。
まとめ
発信者情報開示請求を受けたからといって、請求額をそのまま支払う必要はありません。安易に示談に応じてしまうと、本来負う必要のない高額な金銭を支払う結果につながります。まずは仕組みを理解し、適切な法的対応を行うことが何より重要です。
費用
ビットトレント(BitTorrent)関連の開示請求の対応については、特殊性を踏まえて通常よりも低めの料金設定を用意しております。
| 開示請求対応 | ・意見書文案作成:5.5万円 ・意見対応の代理:11万円 |
| 損害賠償請求対応 | ・受任時:11万円~(税込) ・終了時:減額した15.4%(税込) ・訴訟移行時:+22万円(税込) ・期日日当:3.3万円/日 |
