不貞慰謝料の請求を受けたとき、「支払いが遅れたら高額の遅延損害金を請求する。」として早期の支払いを求められることがあります。遅延損害金による支払額の高額化をおそれて、請求に応じてしまうケースもあります。
このページでは、不貞慰謝料の遅延損害金について、起算点(いつから発生するか)と利率(何%か)などを整理して、遅延損害金はおそれる必要がないことを解説します。
目次
不貞慰謝料の遅延損害金
遅延損害金とは
遅延損害金は、金銭の支払いが期限どおりにされなかった場合に、遅れた期間に応じて上乗せされる損害賠償(いわゆる「遅延利息」)です。金銭債務では、原則として「法定利率(民法の定める利率)」で計算し、約定利率(当事者の合意による利率)が法定利率を超えるときは約定利率が使われます。
不貞慰謝料の遅延損害金の起算点
不貞慰謝料は、不法行為による損害賠償です。
このため、遅延損害金の起算点は不法行為の時、つまり不貞行為があった時になります。不貞行為があった時点で、特に請求を要することなく遅延損害金の計算が始まります。
ただし、不貞は一定期間継続することがあり、不法行為の時を特定しづらいという問題があります。そのため実際は、事案に応じて、遅延損害金の起算日を次のように簡略化して計算することが多いです。いずれの場合も、厳格に計算した場合より、遅延損害金の額は小さくなります。
- 最終の不貞行為の日(または不貞関係の終了日)
- 訴状送達の翌日(起算日を明確化するため)
利率:年3%
不貞慰謝料の遅延損害金は法定利率によります。
法定利率は銀行の貸出金利をもとに法務省が定めており、令和11年3月までは3%となっています。
計算方法:単利で日割り計算
遅延損害金は、次の式で日割り計算します(一般的には365日で割ります。うるう年は366日で計算されます)。
- 遅延損害金 = 元本 × 法定利率(3%) × 遅延日数 ÷ 365
仮に、慰謝料額が300万円で1年間支払いが遅れても、遅延損害金は9万円です。(実際に慰謝料額が300万円も認められることは少ないです。)
交渉のために支払い時期が遅くなったからといって、利息が大きく膨らむことはありません。
年14.6%などが“当然に”適用されるわけではない
相手方から「遅れると年14.6%で遅延損害金を請求する。」などと言われることがあります。この14.6%というのは、契約書などで定められることが多い合意による遅延損害金率です。
このような、法定利息を超える遅延損害金を請求するためには当事者間の合意が必要になります。合意がないにもかかわらず、14.6%という高い遅延損害金を請求することはできません。
対応のポイント
計算の根拠を確認する
高額の遅延損害金を主張されている場合には、何に基づいて、どのような計算で、高額の遅延損害金になっているかを確認します。
自分でも計算してみる
上記の計算方法で、自分でも遅延損害金の金額を計算します。
100万円、200万円、300万円くらいの3つのパターンについて、1年交渉した場合の金額を計算してみるとよいでしょう。
参考として、それぞれ計算すると次のようになります。
- 100万円の場合:3万円
- 200万円の場合:6万円
- 300万円の場合:9万円
落ち着いて時間をかけて対応する
実際の遅延損害金の額が大きくはないことが分かれば、落ち着いて交渉を行うことができます。例えば、1年間交渉して10万円だけ支払額を減らした場合でも、遅延損害金よりも大きな減額をできることになります。
時間をかけて落ち着いて対応するようにしましょう。
まとめ
不貞慰謝料の遅延損害金は、短期間で大きく膨らむものではありません。
遅延損害金をおそれることなく、落ち着いて対応するようにしましょう。
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この記事の執筆者
寺岡法律事務所
弁護士 寺岡健一(大阪弁護士会)
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