別居中の生活費(婚姻費用)は請求できる?金額はどう決まる?

夫婦が離婚に向けて話し合いを進める場合、実際に離婚が成立するまでに1~2年ほどかかることも珍しくありません。
その間、気持ちの整理や安全面の理由から別居を選択するケースも多くみられます。
しかし、別居すると同居中のような家計の共有はなくなり、特に専業主婦(夫)やパート勤務など収入が限られている側にとっては、日々の生活費が大きな負担になります。
こうした状況で検討されるのが「婚姻費用」の請求です。

婚姻費用とは何か

夫婦は婚姻中、互いの生活を維持するために必要な費用を分担する義務を負っています。同居している間は家計を一緒にしていることが多いため、この義務はあまり意識されません。

しかし、別居すると住居費・光熱費・食費などがそれぞれに発生し、生活費の負担がはっきり分かれることになります。このとき、収入格差がある場合には生活水準が大きく異なってしまう可能性があります。こうした不均衡を調整し、婚姻中の生活保持義務を実現するために支払われるのが「婚姻費用」です。

一般的には、収入の多い側から少ない側へ支払われます。また、子どもと同居し養育している側が生活費の負担を多く抱えるため、その点も考慮されます。婚姻費用は「離婚が成立するまでの生活を維持するための費用」であり、離婚協議が難航している場合でも請求が可能です。

金額はどのように決まる?

婚姻費用の金額は、夫婦それぞれの年収と、養育している子どもの人数によって計算されます。
家庭裁判所は婚姻費用の算定基準となる「算定表」を公開しており、基本的にはこの表に沿って金額を算出します。
見方は養育費の算定表と同じで、双方の収入を縦と横に当てはめ、該当する金額帯を確認する仕組みです。

もっとも、婚姻費用は養育費以上に個別事情の影響を受けやすい点に注意が必要です。
例えば、請求する側が持ち家に住み続けており家賃負担がない場合など、実際の生活状況によって修正が行われることがあります。
そのため、算定表はあくまでも目安と考える必要があります。

この記事の執筆者
 寺岡法律事務所
 弁護士 寺岡健一(所属弁護士会:大阪弁護士会)