支払督促が届いたとき、身に覚えがなくても、放置すると強制執行が可能になります。
このページでは、支払督促の効果、異議申立のポイントを弁護士が解説します。
目次
支払督促の仕組みと、放置した場合に起きること
支払督促とは
支払督促手続は、金銭などの支払いについて、債権者(請求する側)の申立てに基づき、簡易裁判所が書面審査で支払督促を発付する手続です。訴訟のように、主張・立証に基づいて審理が行われるわけではなく、債務者(請求される側)の主張を聞くことはなく書類が届くのが特徴です(民事訴訟法382条以下)。
2週間以内に督促異議を出すことが最重要
支払督促を受け取った日から2週間以内に督促異議を申し立てることができます。督促異議を申し立てないまま期限を過ぎると、債権者が仮執行宣言を申し立て、強制執行を行うことが可能になります。
異議を出すと通常訴訟に移行
2週間以内に督促異議を出すと、支払督促の手続は通常訴訟に移行します。ここからは、当事者双方が主張・証拠を出して争う場になります。
言い方を変えると、放置すると主張・立証の機会すらなく強制執行をされることになります。
放置すると仮執行宣言→強制執行(差押え)の可能性
督促異議が出されない場合、債権者は一定期間内に仮執行宣言の申立てを行えます。この申し立てに基づいて仮執行宣言付支払督促が発付されると、債権者はそれに基づいて強制執行の申立てが可能になります。仮執行宣言付支払督促が届いた後も、債務者は受け取ってから2週間以内に異議を申し立てられますが、ここも期限管理が重要です。
よくある勘違い:支払督促=確定判決ではない
支払督促は、書面に不備がないかを確認するのみで、実際に債権の発生原因が存在するかは確認していませんし、証拠の確認もされません。このため、裁判所から支払督促が届くからといって、支払義務の存在が確定的に認定されたわけではありません。
このため、支払督促に争いがある場合は督促異議で争うことになります。一方で、放置するともともと支払義務がなくても、支払義務が確定したものとして強制執行が可能になります。
対応のポイント
まず「期限」と「請求内容」を確認する
支払督促が届いたら、まずは督促異議の提出期限を確認します。
この期日までに督促異議が裁判所に到達する必要があります。
督促異議を提出する
督促異議の申立書を作成して裁判所に提出します。異議の理由は特に記載する必要はありません。
基礎となる事実に争いがなくても督促異議を出してかまいません。例えば、不貞行為の事実が明らかでも、不貞慰謝料請求の支払督促に異議を出してかまいません(実際には多くの場合は金額が多めに請求されています。)。
裁判の準備をする
督促異議を出すと通常訴訟に移行します。このため、通常裁判で争うための準備を行う必要があります。相手の主張の整理、自身の反論の整理、証拠の収集や保存などを行いましょう。
まとめ
支払督促は、債権者の申立てに基づき書面審査で発付され、受け取った側は2週間以内に督促異議を申し立てることができます。異議を出せば通常訴訟に移行し、主張と証拠で争う機会が確保されます。他方、放置すると仮執行宣言付支払督促が発せられ、強制執行(差押え)に進む可能性があります。まずは期限を確認して督促異議を出し、通常訴訟で適切な反論を行うようにしてください。
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この記事の執筆者
寺岡法律事務所
弁護士 寺岡健一(大阪弁護士会)
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