発信者情報開示請求を受けたらどうなる?意見照会書が届いた後の流れと対応方法
ある日、契約しているプロバイダやサイトの運営者から「発信者情報開示に係る意見照会書」が届き、戸惑いや不安を感じていませんか。投稿したことを反省しているからこそ、この先の見通しを正しく知ることが大切です。この記事では、手続きの仕組みと流れ、回答にあたっての注意点、反論(真実性・公益性など)の考え方までを解説します。
お電話 06-6484-6364(平日 9:00〜19:00)/メール・LINEは24時間受付
回答期限はおおむね2週間程度とされるのが一般的です。回答にあたっての注意点を本文で解説しています。意見照会書が届いたときの対応を見る
発信者情報開示請求とは
発信者情報開示請求とは、SNSや掲示板などのインターネット上の投稿によって権利を侵害されたと主張する方が、投稿者(発信者)を特定するために、氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどの情報の開示を、サイトの運営者(コンテンツプロバイダ)やインターネット接続業者(アクセスプロバイダ)に求める手続きです。
根拠となるのは、特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律(いわゆる情報流通プラットフォーム対処法)5条です。以前は「プロバイダ責任制限法」と呼ばれていた法律で、2025年4月1日に法律の名称が変わりました。
対象となる投稿の例
開示請求の対象となる投稿の典型例としては、次のようなものがあります。
名誉毀損にあたる投稿
他人の社会的評価を下げる具体的な事実を書き込むものです。
侮辱にあたる投稿
事実を挙げずに他人をおとしめる抽象的な悪口です。
プライバシー権や肖像権を侵害する投稿
私生活上の事柄をみだりに公開する投稿や、本人に無断で顔写真などを掲載する投稿です。
著作権を侵害する投稿
画像・動画・文章の無断転載や、ファイル共有ソフトによる送信などです。
開示が認められるための要件
発信者情報の開示が認められるためには、主に次の要件を満たすことが必要です(同法5条1項)。
権利侵害の明白性
投稿によって請求者の権利が侵害されたことが明らかであることです。「権利侵害が明らか」といえるためには、権利侵害の事実がうかがわれるだけでなく、違法性を否定する事情(後述する真実性・公益性など)が存在しないことも必要と考えられています。
開示を受けるべき正当な理由
損害賠償請求の準備など、開示を受けるべき正当な理由があることです。損害賠償請求のために投稿者を特定したいという事情は、通常、「正当な理由」にあたります。
投稿者が特定されるまでの流れ
典型的には、次のような流れで投稿者の特定が進みます。
サイトの運営者にIPアドレスなどの開示を請求
請求者はまず、投稿がされたサイトの運営者(コンテンツプロバイダ)から、IPアドレスなどの開示を受けます。
接続業者に氏名・住所の開示を請求
IPアドレスから判明したインターネット接続業者(アクセスプロバイダ)に対して、契約者の氏名・住所の開示を求めます。
発信者情報の開示・投稿者の特定
開示の要件を満たすと判断されると発信者情報が開示され、請求者は投稿者を特定します。
意見照会書が届いたときの対応
意見照会とは
プロバイダは、発信者情報開示請求を受けたときは、発信者と連絡することができない場合などを除き、開示の請求に応じるかどうかについて発信者の意見を聴かなければならないとされています(同法6条1項)。このために送られてくる書面が「発信者情報開示に係る意見照会書」です。
意見照会書が届いたということは、あなたの投稿について、権利を侵害されたと主張する誰かが投稿者の特定を求めている状態にあることを意味します。もっとも、この時点で開示や責任が確定したわけではありません。
回答期限と回答の方法
回答期限は書面に記載されており、おおむね2週間程度とされるのが一般的です。回答書には、開示に同意するかどうか、同意しない場合はその理由を記載します。理由の記載欄に書ききれない場合には、別紙として理由書を添付する方法もあります。
回答内容にかかわらず、要件を満たせば開示されます
注意が必要なのは、意見照会は発信者の同意を得るための手続きではないという点です。開示に同意しない旨を回答しても、プロバイダの判断や、裁判所の発信者情報開示命令などによって開示の要件を満たすと判断されれば、発信者情報は開示されます。反対に、要件を満たさないと判断されれば、同意しない限り開示はされません。
このため、回答にあたっては、投稿が法律上の権利侵害にあたるのか、違法性を否定できる事情があるのかを検討したうえで、法的な理由を整理して記載することが重要になります。投稿に心当たりがあり、権利侵害にあたることを否定しにくい場合には、その後の損害賠償請求への対応を見据えて回答内容を検討する必要があります。
回答しない(無視する)とどうなるか
意見照会に回答しなくても、開示の手続きは進みます。回答がなければ、発信者側の言い分が考慮されないまま、開示するかどうかが判断されることになります。
また、投稿に心当たりがあるにもかかわらず事実と異なる回答をすることは、開示後の交渉や裁判において不利な事情として扱われるおそれがあります。回答するかどうか、どのような内容で回答するかは、その後の展開を見据えて慎重に判断することが大切です。
全国対応・オンライン相談可能・秘密厳守
発信者情報が開示された後の流れ
損害賠償を求める通知や訴訟
発信者情報が開示されると、請求者はあなたの氏名や住所を把握します。その後は、内容証明郵便などで損害賠償を求める通知が届いたり、損害賠償請求の訴訟を提起されたりするのが一般的な流れです。
請求される項目としては、精神的苦痛に対する慰謝料のほか、投稿者の特定(開示請求の手続き)に要した弁護士費用などの調査費用が含まれることがあります。
裁判で認められる慰謝料は、請求額より低いことが多い
通知書では、300万円という賠償金が請求されることも珍しくありません。しかし、裁判で実際に認められる慰謝料は、名誉毀損の場合、50万円から100万円程度にとどまる例が多いです。
もっとも、投稿の内容や悪質性、投稿の回数や拡散の程度、生じた被害の実情などによって金額は大きく変わります。また、慰謝料とは別に、開示請求に要した調査費用として数十万円程度が損害に加算されることもあります。重要なのは、請求された金額をそのまま受け入れるのではなく、裁判例の水準に照らして適正な金額かどうかを検討することです。
損害賠償請求に対する反論(真実性・公益性などの主張)
名誉毀損が違法とならない場合
名誉毀損にあたりうる投稿であっても、次の3つをいずれも満たす場合には、違法性がないものとして損害賠償責任を負わないとされています。
公共性
投稿が公共の利害に関する事実に係ることです。
公益目的
もっぱら公益を図る目的でされたことです。
真実性
摘示した事実が真実であると証明されることです。
また、真実であることの証明ができない場合でも、その事実を真実と信じたことについて相当の理由があるときは、故意・過失がないものとして責任を負わないとされています。
実際には、これらの主張が認められるハードルは高いのが実情です
インターネット上の情報を信じただけでは「相当の理由」になりにくい
真実と信じたことに「相当の理由」があるといえるためには、確実な資料や根拠に基づいていたことが必要とされています。インターネット上の書き込みや噂を目にした、SNSで多くの人が同じことを言っていた、といった事情だけでは、相当の理由があるとは認められにくいと考えられます。投稿がインターネット上のものであるからといって、この基準が緩められるわけではないとされています。
私人に対する投稿は公共性・公益目的が認められにくい
公共性や公益目的は、政治家や公務員に関する事実など、社会一般に知らせる意義のある事柄について認められやすいものです。一般の私人の私生活上の事柄に関する投稿については、公共の利害に関する事実とはいえない、あるいは公益を図る目的とはいえないと判断されることが少なくありません。
実際に相談を受ける事例でも、弁護士の視点からは3要件のいずれも認められないということが多いです。
対応は弁護士に依頼
意見照会への回答や、開示後の損害賠償請求への対応は、弁護士に依頼することを推奨いたします。
適正な賠償額を法的に主張できる
請求されている金額が裁判例の水準に照らして適正といえるかを検討し、過大と考えられる部分については、法的な根拠を示して減額を主張することができます。また、示談で解決する場合には、解決後に追加の請求をしないことを確認する条項(清算条項)などを盛り込んだ合意書を取り交わすことで、紛争の蒸し返しを防ぐことにつながります。
相手方とのやり取りの窓口を任せられる
開示請求から損害賠償請求を受ける事案では、相手の被害感情が強く、直接やり取りすることには大きな心理的負担が伴います。弁護士に窓口を任せることでその負担が軽くなり、感情的な対立を避けて冷静な解決を図りやすくなります。
意見照会の段階から一貫した対応ができる
意見照会への回答内容は、その後の損害賠償請求への対応にも影響します。早い段階で事案の見通しを立て、回答の内容から示談交渉、裁判対応まで一貫した方針で進めることで、不利益な対応を避けやすくなります。
依頼した場合の弁護士費用(税込)
当事務所では、発信者情報開示請求(意見照会)への対応から開示後の損害賠償請求への対応まで一貫してお受けすることにしています。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 受任時(着手金) | 33万円 |
| 真実性・公益性の主張を行う場合 | 22万円を加算 |
| 終了時(報酬金) | 減額できた金額の15.4% |
| 裁判所の期日などに出席する場合の日当 | 1期日あたり3.3万円 |
事案の内容により取扱いが異なる場合がありますので、詳細はご相談の際にご確認ください。
まとめ
発信者情報開示請求を受けた場合、意見照会への回答内容にかかわらず、法律上の要件を満たすと判断されれば発信者情報は開示され、その後、損害賠償請求を受けるのが一般的な流れです。もっとも、請求される金額が裁判例の水準を上回っていることも少なくなく、適正な金額での解決を図る余地は十分にあります。投稿したこと自体を反省している場合でも、過大な請求にそのまま応じなければならないわけではありません。
一方で、不安から意見照会への回答を放置したり、投稿に心当たりがあるのに事実と異なる回答をしたり、届いた請求に言われるがまま応じてしまったりすると、その後の交渉や裁判で不利になったり、適正な水準を超える支払いをすることになったりするおそれがあります。回答や支払いなどの対応をする前に、意見照会書が届いた段階など、できるだけ早い時期に弁護士へご相談ください。書面の内容とご事情を伺えば、回答の方針と今後の見通しを具体的にお伝えできます。
この記事の執筆者
-3.png)
弁護士に相談するのは、一生に一度のことかもしれません。相談してよいか迷う方も少なくありません。法律問題かどうか、ご自身で悩む必要はありません。まずは一度、お気軽にご相談ください。
一人で悩み続ける前に、
まずは無料相談をご利用ください
相談したからといって、依頼しなければならないわけではありません。事情を伺い、減額の見込みや今後の流れをご説明するだけでも結構です。全国どこでも、ご自宅からオンラインで相談・依頼をお受けしています(PC・スマートフォンで可能/秘密厳守)。