相続事案の解決ストーリー

相続事案の解決までの流れをイメージしていただくために、弁護士に相談をしてから相続手続きが完了するまでの流れを、依頼人視点でのストーリー形式で紹介します。
※複数の事案をもとに構成した架空のストーリーです。

事案の概要

Xさんは、お父様の死亡により、相続手続きを行うことになりました。
相続人としては、XさんのほかにAさんがいることは分かっていましたが、長らく連絡を取っていませんでした。
遺産についても、実家の土地建物があることや、預貯金がありそうな銀行はいくつか思い当たるものの、口座番号などの具体的な情報までは把握できていませんでした。

銀行に問い合わせたところ、相続手続きを進めるには、相続人全員の同意書や遺産分割協議書が必要になるとの説明を受けました。
そこで、もう一人の相続人であるAさんに連絡をしようとしたものの連絡先が分かりません。
Xさんは、何からやればいいか分からなくなり、弁護士に相談することにしました。


弁護士への相談と依頼

Xさんは、法律事務所のホームページに設けられていた相談フォームから問い合わせをしました。
その日のうちに弁護士から返信があり、分かっている範囲で相続人や遺産の状況を整理してメールで送ることになりました。
やり取りを経て、翌日にZoomを利用したオンライン相談を行うことが決まりました。

相談当日、弁護士から届いたURLをクリックすると、簡単にZoom相談画面が立ち上がりました。画面には弁護士の顔が映っており表情も見えるため安心して相談をできました。
状況を説明すると、弁護士からは、相続人調査や財産調査から始まり、話し合いを行い、必要に応じて調停に進むという、全体の流れについて説明がありました。
また、手続きには一定の時間がかかり、全体として1~2年程度を見込むこともある、という説明もありました。

相談から2日後、弁護士から委任契約書や委任状などの書類が郵送で届きました。
Xさんは、自宅で内容を確認し、同封されていた説明書に従って必要事項を記入・押印した上で返送しました。
これにより、弁護士が正式に手続きを進めることになりました。


相続関係の調査

書類を返送して数日後、弁護士から相続人調査に着手したとの連絡がありました。
戸籍の収集などには時間がかかるため、3か月くらい結果を待つことになりました。
約2か月後、弁護士から連絡が入り、相続人調査が完了したことが伝えられました。
その結果、お父様には前妻との間にBさんというお子さんがいて、その方も相続人になることが分かりました。
あわせて、これまで所在が分からなかったAさんの住所も判明し、弁護士からAさんとBさんの双方に対して、受任の連絡と遺産分割に関する連絡が行われました。

相続人の調査と並行して、財産の調査も進められていました。
調査の結果、お父様名義の預貯金口座は、Xさんが把握していた銀行に4口座あるとともに、お父様の出身地の地方銀行にも口座が見つかりました。それぞれの口座の残高も判明しました。


話し合いと調停の準備

相続人と相続財産の全体像が明らかになったことで、遺産分割の話し合いに進むことになりました。
弁護士からは、話し合いがまとまらない場合には家庭裁判所での調停を利用すること、その場合に備えて、話し合いと並行して準備を進めていくことが説明されました。

1か月ほどが経過した後、弁護士から連絡がありました。
Aさんからは法定相続分での分割に同意する旨の回答があったものの、Bさんからは全く反応がなかったとのことでした
そこで、家庭裁判所での調停手続きに移行することになりました。


調停手続

Aさんとは分割方法について争いがなかったため、利益相反についての同意書を作成した上で、弁護士がXさんとAさん2人の代理人となり、Bさんを相手方として遺産分割調停を申し立てました。
申し立て後、数週間して、初回の調停期日が指定されました。

初回の調停期日には、こちらからは弁護士が、相手方はBさん本人が出席しました。
Bさんからは、法定相続分通りの相続と、金銭での取得を希望する意向が示されました。
また、不動産の評価額については見解に違いがあり、引き続き協議が行われることになりました。

第2回の調停期日では、不動産の価格については固定資産評価証明書の評価額を基準とすることで整理が進みました。

第3回の調停期日では、Xさんがすべての遺産を取得し、AさんおよびBさんに対しては法定相続分に応じた金銭(代償金)を支払う内容で合意でき、調停が成立しました。


預貯金の解約と代償金の支払い

調停成立後、代償金の支払いに向けて、預貯金口座の解約手続きが行われました。
弁護士に委任状などの必要書類を提出し、弁護士が代理して口座の解約手続きと、各相続人への支払いが完了しました。
その後、弁護士から調停調書などの関係書類が返却されました。


不動産の売却と相続登記

Xさんは、相続した不動産に居住する予定がなかったため、売却することにしました。
弁護士から不動産会社の紹介を受け、仲介契約(媒介契約)を締結しました。

2か月ほどで買主が見つかり、売買契約を締結する際に、相続登記と売買による登記を同時に行うことにしました。登記手続きは不動産屋さんが普段お願いしている司法書士さんにお願いすることになりました。
1か月ほどして、司法書士から登記が完了したとの連絡があり、同時に預けていた書類が返却されました。


相続手続きの完了

以上の手続きを経て、Xさんのお父様の遺産に関する相続手続きは無事すべて完了しました。

※ストーリーはあくまでのイメージを持ってもらうための架空の事案です。事案によっては異なる流れになる場合があります。