インターネット上で財産を管理できるようになり、最近はデジタル遺産の相続が発生する機会も増えています。
このページではデジタル遺産の相続について解説します。
デジタル遺産とは?
デジタル遺産とは、一般的には、故人がデジタル形式で保存していた財産のことを言います。
決まった定義があるわけではなく、インターネットバンクなどのように財産的な価値があるものに限定して言及されたり、ウェブ上に保管した記念写真などのように財産的な価値がないものも含めて言及される場合があります。
デジタル遺産の例
デジタル遺産の例としては次のものがあげられます。
財産的な価値のあるもの
- インターネットバンキング口座
- ネット証券口座
- 暗号資産(ビットコインなど)
- 電子マネー(ICOCAの先払いなど)
財産的な価値のないもの
- インターネット上に保存した写真などのデータ
- サブスクリプションなどの月額利用契約
デジタル遺産が相続の対象になるか
相続では、故人のすべての財産関係が相続の対象になります。
プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も引き継ぎます。
また、故人と誰かとの間の契約関係も引き継ぎます。
このため、サブスクリプション契約なども含めてデジタル遺産は相続の対象になります。
デジタル遺産の相続の手続き
それでは、財産の種類ごとにデジタル遺産の相続の手続きを紹介します。
インターネットバンキング
インターネットバンキングでは、次のような手続きの流れとなります。通常の銀行とほとんど違いはありません。
ログインパスワードなどが分からなくても大丈夫です(パスワードが分かる場合でも手続きをせずに引き出しなどを行ってはいけません。)。
・銀行に連絡
・手続き書類の受け取り
・書類の記入と必要書類(戸籍の写し、印鑑証明、遺産分割協議書など)の提出
・預貯金の払い戻し
主要なインターネットバンキングの相続手続きのリンクを記載します。
(リンクは執筆時のものになります。)
- 住信SBIネット銀行:相続手続きQ&Aページ
- 楽天銀行:相続手続きページ
- ソニー銀行:相続手続きページ
- auじぶん銀行:相続手続きQ&Aページ
- セブン銀行:相続手続きページ
- イオン銀行:相続手続きページ
ネット証券口座
ネット証券口座は、インターネットバンキングと同様の流れとなります。
主要なネット証券会社の相続手続きのリンクを記載します。
(リンクは執筆時のものになります。)
- SBI証券:相続手続きQ&Aページ
- 楽天証券:相続手続き受付ページ
- マネックス証券:相続手続きページ
暗号資産
暗号資産取引であっても、ほとんどは暗号資産用の取引業者に口座を開設して取引をしています。
このため、この取引業者に連絡をして相続手続きを行うことになります。
銀行や証券会社と同じですが、それらと比べて手続き窓口が見つけにくくなっています。
主要な取引業者の相続手続きのリンクを記載します。
(リンクは執筆時のものになります。)
- SBI VCトレード:専用窓口がなく問い合わせページからの手続き
- 楽天ウォレット:専用窓口がなく問い合わせページからの手続き
- ビットフライヤー:相続手続きQ&Aページ
- GMOコイン:相続手続きQ&Aページ
電子マネー
各会社に連絡をして、払い戻しなどの手続きを行うことになります。
主要な電子マネー会社の相続手続きのリンクを記載します。
(リンクは執筆時のものになります。)
- ICOCA(カード型):窓口に持参
- ICOCA(モバイル):ウェブから申込手続き
- PayPay:問い合わせ窓口からの手続き
インターネット上の写真データなど
ログインをしてデータをダウンロードした上でアカウントの削除をします。
アカウント作成時に本人確認などがされないため、ログインアカウントやパスワードが分からない場合には手続き不可能な場合が多いです。
サブスクリプション契約など
多くの場合は、クレジットカードや銀行の引き落としで契約が判明することになります。
運営会社に連絡をして利用停止をするか、ログインして利用停止をします。
どちらの手続きもできない場合には、クレジットカード会社や銀行に連絡をして引き落としを停止します。
生前の対策(被相続人の準備)
デジタル遺産は相続人に存在を気付かれず失われてしまったり、代金を支払い続けたりしてしまうことがあります。
デジタル遺産に限ったことではないですが、相続人のために次の作業をしておきましょう。
- 財産や契約関係のリスト化
- ログイン情報の保存
- 各財産の相続時の手続きの確認