不貞慰謝料の時効はいつですか?

不貞慰謝料の時効は発覚してから3年、行為の時から20年です。しかし、不貞慰謝料には配偶者の特例など複雑な要素があります。
このページでは、不貞慰謝料の時効について、弁護士が分かりやすく整理して解説します。

不貞行為とは

不貞行為とは、配偶者以外の人と性交渉を行うことを言います。
夫婦は互いに貞操義務を負っており、不貞行為を行った場合には、離婚原因になったり(民法770条1項1号)、不法行為に基づく損害賠償(709条)の原因になったりします。
また、不貞行為の相手方(要は浮気相手)も同じく損害賠償義務を負います。
この不貞行為による損害賠償義務を一般に「慰謝料」と呼んでいます。

不貞慰謝料の時効期間

民法の原則

不貞慰謝料は不法行為に基づく損害賠償請求です。
不法行為に基づく損害賠償請求の時効は、①損害および加害者を知った時から3年、②不法行為の時から20年のいずれか早い方です(民法724条)。
実務上は、「不貞行為が発覚してから3年」「不貞行為が行われてから20年」という理解で概ね問題ありません。

発覚しなければ期間が長い

3年という数字だけは聞いたことがある方も多いと思いますが、「発覚してから3年」という数え方になります。
発覚していない場合には20年と長期間になるため、簡単には時効が成立しません。

夫婦間の慰謝料請求には特例がある

不貞行為を行った配偶者に対して請求する場合には、民法159条に特例が設けられています。
夫婦間では、婚姻中に権利行使を控える事情があることから、離婚などにより婚姻関係が解消された後、6か月を経過するまでは時効が完成しないとされています。

整理するとどうなるか

整理すると、次のようになります。
・不貞相手への慰謝料請求:発覚から3年、または行為から20年
・配偶者への慰謝料請求:発覚から3年、または行為から20年。ただし離婚後6か月は請求できる

具体例でイメージしましょう

不貞行為が5年前に発覚したケース

Xは既婚者であるにもかかわらず、Yと不貞関係にありました。不貞行為自体は10年前に始まり、5年前に発覚したことで終了しました。Xと配偶者Zは、1か月前に離婚しました。Zは離婚を機に2人に慰謝料請求をしました。

配偶者には請求できるが不貞相手には請求できないことになる

このケースでは、次のようになります。

  • 不貞相手Yについては、発覚から5年が経過しているため時効によって請求することができなくなります。
  • Xについては、離婚から6か月の猶予期間中ですので請求することが可能です。

このように、配偶者と不貞相手で請求の可否が変わることがあります。

とるべき対応

不貞慰謝料の時効は、想定するよりも長期間です。
発覚後3年間は請求される可能性があり、実際に2年以上経過してから請求される例もあります。
特に、婚姻関係がすでに破綻していた、不貞行為の期間が短いなど、慰謝料額の減額に影響する事情がある場合は、それを裏付ける資料や証拠を保存しておく必要があります。
請求を受けた場合や、時効の成否が問題になりそうな場合には、早い段階で専門家に相談することで、状況を整理しやすくなります。

まとめ

不貞慰謝料には時効がありますが、発覚から3年、行為から20年という比較的長い期間になります。配偶者に対する請求では、離婚後6か月の猶予がある点にも注意が必要です。「しばらく請求されていないから大丈夫」と判断するのは危険で、時効の性質を正確に理解することが重要です。
不貞慰謝料の問題は個別事情によって結論が変わるため、早めに整理することが望ましいといえます。

※弁護士費用などはこちらをご参考ください。

この記事の執筆者
 寺岡法律事務所
 弁護士 寺岡健一(大阪弁護士会)
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