不貞慰謝料の遅延損害金とは?
利率・計算方法と請求された場合の対応
遅延損害金は法定利率(年3%)で計算され、1年遅れても元本の3%程度です。「高額の遅延損害金」という主張に振り回される必要はありません。
「支払いが遅れたら高額の遅延損害金を請求する」と言われ、急いで応じるべきか不安になっていませんか。遅延損害金は短期間で大きく膨らむものではなく、慌てて不利な条件で合意するより、時間をかけて適正な金額を交渉するほうが有利な場合が多くあります。
お電話 06-6484-6364(平日 9:00〜19:00)/メール・LINEは24時間受付
相手の計算が正しいとは限りません。請求されたときの確認ポイントを見る
不貞慰謝料の遅延損害金の基礎知識
遅延損害金とは
遅延損害金とは、金銭の支払いが期限どおりにされなかった場合に、遅れた期間に応じて発生する損害賠償のことです。一般に「遅延利息」と呼ばれることもあります。
金銭債務の不履行については、原則として法律で定められた利率(法定利率)によって遅延損害金を計算します(民法419条1項)。ただし、当事者間の合意(約定利率)が法定利率を超える場合には、約定利率が適用されます。
不貞慰謝料は不法行為に基づく損害賠償(民法709条)ですので、不法行為に基づく損害賠償についての遅延損害金のルールが適用されます。不法行為に基づく損害賠償債務は、損害が発生したと同時に遅滞に陥ります。
起算点(いつから遅延損害金が発生するか)
不法行為に基づく損害賠償債務の遅延損害金は、損害が発生した時点、つまり不法行為があった時から発生します。不貞慰謝料の場合、理論上は不貞行為があった時が起算点です。請求や催告がなくても、不貞行為の時点から自動的に遅延損害金の計算が始まります。
継続的な不貞行為の場合の起算点
不貞行為は一度きりではなく、一定期間継続することが多いため、「不法行為の時」を特定しづらいという問題があります。そのため、実務上は事案に応じて、次のような日を起算点として計算することが多いです。
- 最終の不貞行為の日(または不貞関係の終了日)
- 訴状送達の翌日(起算日を明確にするため)
利率は年3%(法定利率)
不貞慰謝料の遅延損害金は、当事者間で別途合意がない限り、法定利率によって計算します。
法定利率は、2020年(令和2年)4月1日施行の民法改正によって、従来の年5%から年3%に引き下げられました(民法404条2項)。この法定利率は3年ごとに見直される変動制ですが(民法404条3項)、法務省の告示により、令和11年(2029年)3月31日までは年3%が維持されることが確定しています。
計算方法(単利・日割り計算)
遅延損害金は、次の計算式で日割り計算します。複利ではなく単利で計算します。
遅延損害金 = 元本 × 法定利率(3%) × 遅延日数 ÷ 365
たとえば、慰謝料額が200万円で、支払いが1年間遅れた場合の遅延損害金は、200万円 × 3% = 6万円です。
慰謝料額ごとの遅延損害金の目安(1年間遅延した場合)は、次のとおりです。
| 慰謝料額 | 遅延損害金(1年間) |
|---|---|
| 100万円 | 3万円 |
| 150万円 | 4万5,000円 |
| 200万円 | 6万円 |
| 300万円 | 9万円 |
このように、1年間支払いが遅れたとしても、遅延損害金の額は元本に対して大きなものではありません。交渉に時間をかけたことで支払い時期が多少遅くなっても、遅延損害金が大きく膨らむことはないといえます。
年14.6%などの高い利率が当然に適用されるわけではない
相手方から「支払いが遅れた場合は年14.6%の遅延損害金を請求する」などと主張されることがあります。14.6%という数字は、契約における約定利率として定められることの多い利率です。
しかし、法定利率を超える利率で遅延損害金を請求するためには、当事者間の合意(約定利率の取り決め)が必要です。不貞慰謝料の請求の場面では、まだ合意が成立していない段階で請求書や通知書が届くことがほとんどです。合意がなければ、14.6%という高い利率での遅延損害金は発生しません。法定利率の年3%が適用されます。
もっとも、示談書で約定利率を定めた場合には、その合意した利率が適用されます。示談書に署名する際には、遅延損害金の利率についても確認することが大切です。
全国対応・オンライン相談可能・秘密厳守
遅延損害金を請求されたときの対応
計算の根拠を確認する
高額の遅延損害金が記載された請求書や通知書を受け取った場合には、まず、計算の根拠を確認しましょう。どの時点を起算点としているのか、利率は何%で計算しているのか、元本はいくらとしているのかを確認します。法定利率を超える利率で計算されている場合や、不合理な起算点が設定されている場合には、その計算どおりに支払う義務はありません。
自分でも計算してみる
上記の計算式を使って、ご自身でも遅延損害金の金額を計算してみましょう。相手方が主張する慰謝料額の100万円、200万円、300万円など、いくつかのパターンで計算すると、仮に1年間交渉に時間がかかったとしても、遅延損害金の額は数万円程度であることが分かります。
あわてず落ち着いて対応する
遅延損害金の額が大きくはないことが分かれば、急いで不利な条件で合意する必要はありません。たとえば、1年間交渉を続けて慰謝料額を50万円減額できた場合、遅延損害金を考慮しても大幅に支払額を減らすことができます。「遅延損害金が膨らむ」という相手方の主張に振り回されず、落ち着いて適切な金額を検討することが重要です。
まとめ
不貞慰謝料の遅延損害金は、合意がない限り法定利率の年3%で計算されます。相手方が年14.6%などの高い利率を主張しても、当然には適用されません。1年間支払いが遅れても元本の3%程度であり、短期間で大きく膨らむものではありません。
一方で、「遅延損害金が膨らむ」という主張に焦って、減額の余地を検討しないまま不利な条件で合意してしまうと、遅延損害金よりはるかに大きな損をすることになりかねません。合意する前に、一度弁護士にご相談ください。請求内容を伺えば、遅延損害金も踏まえた支払総額の見通しと交渉方針を具体的にお伝えできます。
この記事の執筆者
弁護士に相談するのは、一生に一度のことかもしれません。相談してよいか迷う方も少なくありません。法律問題かどうか、ご自身で悩む必要はありません。まずは一度、お気軽にご相談ください。
一人で悩み続ける前に、
まずは無料相談をご利用ください
相談したからといって、依頼しなければならないわけではありません。事情を伺い、減額の見込みや今後の流れをご説明するだけでも結構です。全国どこでも、ご自宅からオンラインで相談・依頼をお受けしています(PC・スマートフォンで可能/秘密厳守)。