不貞慰謝料の合意書(示談書)を自分で作成するときのポイント
自分から文案を作れば、解決の範囲や清算条項を自分の側から固められます。ただし、相手が署名できる公平な内容にすることが大切です。
合意書(示談書)の文案を自分で用意すれば、解決範囲や清算条項を自分に有利に固められます。ただし、一方的な内容では相手は署名しません。そして一度成立した合意は撤回できません。作成前に押さえたい要点を整理します。
お電話 06-6484-6364(平日 9:00〜19:00)/メール・LINEは24時間受付
清算条項は、支払う側にとって特に重要な条項です。盛り込む条項を見る
合意書を作成する前に押さえておきたい基礎知識
合意書(示談書)とは
示談とは、当事者が互いに譲歩して紛争を終わらせる合意のことで、法律上は和解契約にあたります(民法695条)。合意書(示談書)は、その合意の内容を書面にまとめたものです。
合意書に署名すると、その内容には法的な拘束力が生じます。確定するのは慰謝料の金額だけではありません。「どの事実を認めたのか」「どこまでの問題を解決したのか」「今後どのような義務を負うのか」といった事項のすべてが、書面のとおりに固まります。後から「そのつもりではなかった」と言っても、覆すことはできません。
自分で合意書の文案を用意するという方法
合意書の文案は、慰謝料を請求する側が用意することが多いですが、支払う側から文案を作って提案することもできます。自分で文案を作ると、解決する範囲や、後で説明する清算条項などを、自分の側から明確にしておけるという利点があります。
ただし、合意書は相手が署名して初めて成立します。自分に都合のよい内容だけを並べても、相手が応じなければまとまりません。相手も納得できる、公平で分かりやすい内容にすることが、結果として確実な解決につながります。
合意書に盛り込むことが多い条項
不貞慰謝料の合意書では、次のような条項を定めることが一般的です。支払う側の視点で、それぞれの注意点を確認しましょう。
示談の対象範囲
その合意書が「誰と誰の、どの不貞行為に関する紛争を解決するものか」を明確にします。対象が曖昧だと、後で別の解釈をされるおそれがあります。一方で「○月○日の不貞行為に関する示談」のように限定しすぎると、ほかの日の行為について改めて請求されるという主張の余地が残ります。紛争全体が解決される範囲になっているかを確認します。「AとBの間における不貞行為」のような規定にするのが無難なところです。
支払内容と方法
金額のほか、支払期日、支払方法(振込先口座を含む)、振込手数料の負担者などを定めます。分割払いにする場合は、各回の金額と期日、期限の利益を失う条件(たとえば「支払いを2回以上怠ったときは残額を一括で支払う」など)、遅延損害金の取り扱いまで決めておくと、後のトラブルを避けやすくなります。
清算条項
清算条項とは、合意書に書かれた事項のほかには、当事者の間に債権債務がないことを互いに確認する条項です。これがないと、慰謝料を支払った後でも「他の債権が存在する」と主張される余地が残ります。支払う側にとっては、問題を終局的に解決するために特に重要な条項です。
求償権の取り扱い
不貞行為は、配偶者と不貞相手が共同で行った行為とされ、両者は被害を受けた配偶者に対して連帯して責任を負います(民法719条)。一方が全額を支払った場合、もう一方に対してその負担部分を請求でき、これを求償といいます。請求する側から「自分の配偶者に対する求償権を放棄してほしい」と求められることがあります。求償権を放棄すると、本来は相手と分担できるはずの部分まで、自分だけで負担することになります。放棄するのであれば、その分が金額に反映されているかを検討します。
接触禁止条項と違約金
「今後、相手と接触しない」ことを約束する接触禁止条項を入れることもあります。文案を作る際は、違約金が不相当に高額にならないようにします。同じ職場で働いているなど、現実に守るのが難しい場合は、業務上必要な範囲を除くといった工夫も必要になります。支払う側にとっては、できるだけ入れないようにしたい条項です。
公正証書と強制執行認諾文言
相手から合意書を公正証書にすることを求められることがあります。公正証書に「強制執行に服する」という強制執行認諾文言を入れると、相手は裁判を経ずに財産の差押えなどを行えるようになります(民事執行法22条5号)。これは非常に強い効果ですので、入れるかどうかは慎重に検討します。
全国対応・オンライン相談可能・秘密厳守
合意書を作るときの手順
前提として、交渉で支払金額を決めた上で、文案の作成に入ります。手順は次のとおりです。
解決したい問題の範囲を確認する
「どの範囲の問題を解決したいのか」を確認して、示談の対象を決めます。当事者と対象となる不貞行為を明確にします。
支払方法と清算条項を入れた文案を作る
金額・支払期日・支払方法を定め、問題を終局的に解決するための清算条項を盛り込みます。分割払いの場合は期限の利益喪失条項なども加えます。
不利な条項は相手の要求がない限り入れない
求償権放棄や接触禁止については、相手から要求がない限り、こちらから入れる必要はありません。入れることを求められた場合には、対価として支払額の減額などを求めるようにします。
まとめ
不貞慰謝料の合意書には、示談の対象範囲や支払条件、清算条項、求償権、接触禁止条項など、決めておきたい事項が多くあります。自分で作る場合も、相手が署名できる公平な内容にすることが確実な解決につながります。特に清算条項は、支払う側が問題を終局的に解決するために重要です。
一方で、条項の過不足や金額が妥当かの判断は難しく、一度成立すると撤回できません。とくに求償権放棄・接触禁止・公正証書の強制執行認諾文言は、安易に受け入れると大きな負担になります。相手に提示する前に、一度弁護士に内容を確認してもらうと安心です。文案を伺えば、条項の過不足や金額の妥当性を確認し、提示前に整える方法を具体的にお伝えできます。
この記事の執筆者
弁護士に相談するのは、一生に一度のことかもしれません。相談してよいか迷う方も少なくありません。法律問題かどうか、ご自身で悩む必要はありません。まずは一度、お気軽にご相談ください。
一人で悩み続ける前に、
まずは無料相談をご利用ください
相談したからといって、依頼しなければならないわけではありません。事情を伺い、減額の見込みや今後の流れをご説明するだけでも結構です。全国どこでも、ご自宅からオンラインで相談・依頼をお受けしています(PC・スマートフォンで可能/秘密厳守)。