慰謝料・示談金・和解金・解決金の違いとは?|不貞慰謝料で使われる用語をわかりやすく解説

不貞行為(浮気・不倫)のトラブルで相手方から請求を受けたとき、「慰謝料」「示談金」「和解金」「解決金」など、様々な言葉が使われます。これらの言葉を聞いて、「意味が違うのだろうか」「法的な効果が変わるのだろうか」と疑問が生じます。日常的な場面ではこれらの言葉はほぼ同じ意味で使われています。ただし、微妙な違いが生じることがあり、和解契約書(示談書)を作成する際にはその違いが重要になることもあります。

このページでは、不貞慰謝料の場面で使われるこれらの用語について、それぞれの意味や違い、そして実際に注意すべきポイントを解説します。

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不貞慰謝料をめぐる4つの用語の意味と違い

不貞慰謝料に関連して使われる主な用語は、「慰謝料」「和解金」「示談金」「解決金」の4つです。以下では、それぞれの意味を順に説明します。

慰謝料とは

慰謝料とは、精神的な苦痛(精神的損害)に対して支払われる損害賠償金のことです。
不貞行為とは、配偶者以外の人と性的関係を持つことをいいます。夫婦は互いに貞操義務を負っているため、不貞行為は不法行為(民法709条)に該当し、これによって生じた精神的苦痛に対して慰謝料(民法710条)を請求することができます。
また、不貞行為は離婚原因の一つとしても定められています(民法770条1項1号)。不貞行為を行った配偶者だけでなく、不貞行為の相手方(浮気相手)も、不法行為に基づく損害賠償義務を負います。
つまり、慰謝料とは、不貞行為という違法な行為によって法律上当然に発生する損害賠償請求権に基づくものです。相手方との合意がなくても、法律の規定により発生する点が特徴です。

和解金とは

和解金とは、和解契約に基づいて支払われる金銭のことです。
和解とは、当事者が互いに譲歩して争いをやめることを約束する契約です(民法695条)。不貞慰謝料の場面では、たとえば不貞行為の有無や慰謝料の金額について双方の主張が食い違っている場合に、お互いが歩み寄って一定の金額で合意するケースが典型的です。
和解が成立すると、そこで合意した内容(支払額や支払条件など)に拘束されることになります。この和解契約に基づいて発生する支払義務の金銭を「和解金」と呼びます。
なお、和解は当事者間の話し合い(裁判外の和解)だけでなく、裁判手続きの中で行うこともできます(裁判上の和解)。裁判上の和解が成立した場合には、確定判決と同一の効力を持ちます(民事訴訟法267条)。

示談金とは

示談金とは、示談によって合意された支払金のことです。
「示談」という言葉は、実は法律の条文には登場しません。一般的には、当事者同士が話し合って紛争を解決することを「示談」と呼んでいます。法律的には、示談は和解と同じ意味であると理解して問題ありません。
したがって、「示談金」と「和解金」もほぼ同じ意味です。示談金という言葉のほうが日常的によく使われる傾向がありますが、法的な効果に違いはありません。

解決金とは

解決金とは、紛争の解決にあたって支払われる金銭の呼び名です。
「解決金」も法律用語ではなく、法律の条文には定義がありません。実務上、和解契約書(示談書)の中で支払名目として使われることが多い言葉です。
慰謝料と異なり、「解決金」という名目にはあえて法的な性質を特定しないという意味合いがあります。これは、支払いの趣旨について双方の認識が異なる場合や、慰謝料という名目を使うことで生じる他の法的効果(後述)を避けたい場合に用いられることがあります。

和解契約書(示談書)の記載から見る用語の使い分け

実際の和解契約書(示談書)では、支払義務をどのように記載するかによって、上記の用語が使い分けられます。以下に典型的な記載例を示します。

「慰謝料」として記載する場合

甲は、乙に対して、不貞行為に基づく慰謝料として、金100万円の支払義務があることを認める。

この記載では、支払いの名目が「不貞行為に基づく慰謝料」と明示されています。つまり、甲が支払う100万円は、不法行為に基づく損害賠償としての慰謝料であり、同時に和解契約によって合意された和解金(示談金)でもあるということになります。

「解決金」として記載する場合

甲は、乙に対して、本件の解決金として、金100万円の支払義務があることを認める。

この記載では、支払いの名目が「解決金」となっており、「慰謝料」という言葉は使われていません。したがって、この100万円は和解金(示談金)であり解決金ですが、慰謝料とは明言されていないことになります。

記載方法の違いが法的効果に影響する場合

「慰謝料」と明記するか「解決金」とするかの違いは、多くの場合は実質的な差を生みません。しかし、一定の場面では法的な効果に違いが出ることがあります。

求償権への影響

不貞行為の慰謝料は、不貞行為をした配偶者と浮気相手が連帯して負担する(不真正連帯債務)です。そのため、浮気相手が慰謝料を全額支払った場合には、自分の負担部分を超える部分について、不貞行為をした配偶者に対して求償できます。

和解契約書の中で「慰謝料」と明記した場合と「解決金」とした場合では、この求償権の行使に影響が生じることがあります。「解決金」として合意した場合には、共同不法行為に基づく損害賠償ではないとして、求償権の存在を争われる余地があります。

他の関係者への請求との関係

不貞行為の被害者(請求者側)の立場からは、浮気相手との和解で「慰謝料」として合意すると、配偶者に対する慰謝料請求にも影響が及ぶ場合があります。逆に、「解決金」という名目であれば、慰謝料債務そのものが消滅したことを争う余地が残り、配偶者への請求余地を残す趣旨で使われることがあります。

このように、和解契約書の文言の選び方は、関係当事者全体の法律関係に影響しうるものです。

名称が違えば支払額も変わるのか

名称の違いだけで金額は変わらない

慰謝料であっても示談金であっても、最終的に支払う金額は、不貞行為の内容や期間、婚姻関係への影響、当事者の資力などの事情を総合的に考慮して決まるものです。相手方が使っている用語の違いによって、金額の相場が上下するわけではありません。

ただし和解契約書の名目は慎重に選ぶべき

上記のとおり、日常会話のレベルでは名称の違いを気にする必要はほとんどありません。しかし、和解契約書(示談書)を作成する段階では、支払名目を「慰謝料」とするか「解決金」とするかによって、求償権や他の関係者への請求に影響が出る可能性があります。

用語の違いを踏まえて対応する際のポイント

不貞慰謝料を請求された場合、まずは相手方から届いた書面や通知書の内容を落ち着いて確認してください。書面の中で「慰謝料」「示談金」「解決金」のいずれの言葉が使われていても、請求の趣旨自体は同じです。言葉の違いだけで過度に不安になる必要はありません。

ただし、和解(示談)の合意をする段階では、合意書に記載する支払名目に注意が必要です。特に、不貞行為をした配偶者との関係(求償権の問題)や、請求者側が今後どのような請求をしてくる可能性があるかを考慮した上で、適切な文言を選ぶことが望ましいです。

まとめ

不貞慰謝料のトラブルで使われる「慰謝料」「示談金」「和解金」「解決金」は、日常的にはほぼ同じ意味で使われる言葉です。相手方がどの用語を使っていても、請求の趣旨に違いはなく、名称の違いだけで支払い義務が変わることもありません。
ただし、和解契約書(示談書)を作成する際には、支払名目を「慰謝料」とするか「解決金」とするかによって、求償権や他の関係者への請求に影響が出る可能性があります。特に、関係者が複数いるケースや離婚の有無が未確定なケースでは、文言の選び方が重要になります。

ご自身のケースでどう対応すべきか判断が難しいと感じた場合には、弁護士に相談されることをお勧めします。

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この記事の執筆者
 寺岡法律事務所
 弁護士 寺岡健一(大阪弁護士会)
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