訴状が届いたけれど、指定された裁判の期日に出頭できない——そんなとき、何もしなければ相手の主張どおりの判決が出てしまう可能性があります。しかし、民事訴訟法には初回期日に限り欠席を認める制度が用意されており、適切に対応すれば不利益を避けることができます。
このページでは、期日に出頭できない場合の基本的なルールと具体的な対応方法を解説します。対応に不安がある場合には、早めに弁護士へ相談されることをお勧めします。
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目次
民事訴訟の期日に出頭できない場合の基本ルール
口頭弁論期日呼出状とは
訴訟が提起されると、裁判所から被告に対して訴状が送達されます。このとき訴状と一緒に届くのが「口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告状」という書面です。この書面には、口頭弁論期日(裁判が行われる日時)、出頭場所(裁判所名と法廷番号)、答弁書の提出期限などが記載されています。
口頭弁論期日は、訴状が届く前に原告と裁判所との間で調整して決められています。つまり、被告の都合はまったく考慮されていません。平日の日中に設定されるため、届いた時点で予定が入っていることも珍しくありません。
期日を欠席するとどうなるのか
民事訴訟では、当事者が相手方の主張する事実について争うことを明らかにしない場合、その事実を認めたものとみなされます。これは民事訴訟法159条に定められており、「自白の擬制」と呼ばれます。
具体的には、期日に出頭せず、書面も提出しなかった場合、原告が訴状で主張した事実をすべて認めたものとして扱われます。その結果、原告の請求どおりの判決(いわゆる「欠席裁判」)が出されることになります。
初回期日に限り欠席が認められる制度
前述のとおり、初回の口頭弁論期日は被告の都合を聞かずに指定されます。そのため、民事訴訟法158条は、初回期日に限り、被告が答弁書を事前に提出していれば、出頭しなくてもその答弁書の内容を法廷で陳述したものとみなす制度を設けています。
この制度により、答弁書さえ提出しておけば、初回期日を欠席しても直ちに敗訴判決が出ることはありません。2回目以降の期日は、裁判所・原告・被告の三者で調整して決められるため、通常は出頭可能な日程が設定されます。
答弁書を提出しないとどうなるのか
答弁書を提出せずに初回期日を欠席した場合には、民事訴訟法158条の救済を受けることができません。この場合、先に説明した「自白の擬制」(民事訴訟法159条)がそのまま適用され、原告の主張をすべて認めたことになります。つまり、原告が求めた金額どおりの支払いを命じる判決が出される可能性が高くなります。
答弁書を提出するかどうかが、初回期日の欠席において極めて重要な分岐点です。
欠席すれば裁判が延期されるわけではない
「裁判に行けなければ、裁判所が別の日程を設定してくれるだろう」と考える方がいらっしゃいます。しかし、民事訴訟において被告が期日に出頭しなかったとしても、裁判所が自動的に期日を延期するわけではありません。被告が答弁書も提出せずに欠席すれば、裁判所はそのまま手続を進め、原告の主張に基づいて判決を出すことができます。
また、「忙しいから」「日程が合わないから」という理由だけで期日を変更してもらえるわけでもありません。期日の変更は民事訴訟法93条に規定がありますが、裁判所の判断によるものであり、被告の都合だけで当然に認められるものではありません。出頭できない場合には、答弁書を提出した上で欠席するのが基本的な対応です。
期日に出頭できない場合にとるべき対応
答弁書を期限までに提出する
初回期日に出頭できない場合、もっとも重要な対応は答弁書を提出期限までに裁判所へ提出することです。答弁書は、訴状に同封されている用紙を使って作成することができます。記載内容としては、まず「請求棄却を求める。」と記載します。これは、原告の請求を認めないという意味です。
訴状に記載された事実に対する認否(認めるか否かの態度表明)や、こちらの主張については、「追って主張する。」と記載しておけば問題ありません。認否を中途半端に記載すると後から修正できなくなるおそれがあるため、内容に自信がない場合は詳細を書かないほうが安全です。特に、相手の主張を一度認めてしまうと、後から弁護士に依頼しても撤回できません。
裁判所へ連絡する
答弁書の提出に加えて、裁判所に連絡をしておくことも大切です。裁判所は被告がなぜ出頭しないのかを把握できないため、連絡がないまま欠席すると「出頭する意思がない」と受け取られかねません。口頭弁論期日呼出状に記載されている裁判所の電話番号に連絡し、出頭できない事情を伝えておきましょう。このとき、2回目以降の期日の希望日(初回期日の1か月後くらいが多いです)を聞かれることもあります。
弁護士への相談を検討する
訴訟は専門性が高い手続です。答弁書の記載内容やその後の訴訟の進め方について判断を誤ると、不利な結果につながることがあります。期日に出頭できない場合の対応に限らず、訴状が届いた段階で弁護士に相談されることを検討してみてください。
まとめ
訴状が届いて裁判の期日に出頭できない場合でも、答弁書を提出しておけば、初回期日に限り欠席しても直ちに敗訴判決が出ることはありません。重要なのは、何もしないまま期日を迎えないことです。答弁書には「請求棄却を求める。」と記載し、認否や主張は「追って主張する。」としておくのが安全です。また、裁判所への連絡も忘れないようにしましょう。
訴訟は専門性の高い手続ですので、訴状が届いた段階で弁護士への相談を検討されることをお勧めします。
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この記事の執筆者
寺岡法律事務所
弁護士 寺岡健一(大阪弁護士会)
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