不貞慰謝料請求の訴状が届いたら|答弁書・提出期限・放置した場合のリスクを解説

不貞慰謝料請求の訴状が届いた場合、まず確認すべきは答弁書の提出期限と第1回口頭弁論期日です。訴状を放置すると、相手方の主張がそのまま認められる「欠席裁判」になるおそれがあります。

このページでは、訴状が届いた際の手続の流れ、同封物の意味、答弁書の書き方、そして初動として何をすべきかを解説します。不明な点がある場合には弁護士への相談も併せてご検討ください。

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訴状が届いたときに知っておくべき法律知識

訴状とは

訴状とは、原告(請求する側)が裁判所に提出する書面で、裁判を開始するために必要な書類です。不貞慰謝料の場合、配偶者の不貞行為(不倫)によって精神的苦痛を受けたとして、不貞行為の相手方に慰謝料の支払いを求める内容が記載されています。

訴状には、原告が求める判決の内容(「被告は原告に対し●●万円を支払え」など)と、その根拠となる事実関係の主張が記載されています。ただし、訴状に書かれている内容はあくまで原告の主張であり、裁判所が事実として認定した内容ではありません。訴状を受け取った時点では、裁判はまだ始まったばかりですので、被告側には反論や弁解の機会が十分に与えられています。

特別送達とは

訴状は、裁判所から「特別送達」という方法で届きます。特別送達とは、郵便局員が直接受取人に手渡しで届ける書留郵便の一種です。通常の郵便とは異なり、受け取りを拒否することはできません。

不在の場合は郵便局に不在票が入ります。放置していると、「付郵便送達」や「公示送達」といった別の送達方法に切り替えることがあり、被告が知らないまま手続が進行して判決が出される可能性もあります。不在票が入っていた場合は速やかに再配達の手続をとりましょう。

訴状と一緒に届く書類の内容

訴状と一緒に、裁判所からいくつかの書類が同封されています。同封物の内容は裁判所によって多少異なりますが、一般的には次のような書類が含まれています。

口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告状

多くの場合、同封物の最初に入っている書面です。訴状が提出されたこと、第1回口頭弁論期日の日時、出頭場所(裁判所名と法廷番号)、答弁書の提出期限が記載されています。この書面で日程と場所を確認することが最初の一歩です。

訴状本体

原告が作成した訴状そのものです。原告が裁判所に対して求める判決の内容(請求の趣旨)と、請求の根拠となる事実関係(請求の原因)が記載されています。場合によっては「訴状訂正申立書」が同封されていることがあります。これは訴状に誤記や不足があった場合に内容を訂正するもので、訴状の一部として読んでください。

裁判所からのお知らせ・答弁書の書き方・答弁書用紙

裁判所からの説明書面として、訴訟手続の概要、出頭や答弁書提出の指示、弁護士への依頼についての案内などが記載された書面が同封されています。また、答弁書の記載方法を説明した書面と、裁判所が用意した答弁書用紙も同封されています。答弁書用紙はチェックリスト形式や穴埋め形式になっており、法律の専門知識がない方でも記載できるように工夫されています。

証拠の写しと証拠説明書

原告が提出した証拠書類の写し(コピー)と、証拠説明書が同封されています。証拠説明書には、各証拠が何を立証するために提出されているかが記載されています。どのような証拠が提出されているかを確認することで、原告の主張の根拠を把握することができます。

答弁書とは

答弁書とは、訴状に対する被告の反論や意見を記載して裁判所に提出する書面です。原告の主張に対して認める部分・否認する部分を明らかにし、被告側の言い分を述べるためのものです。

答弁書は、同封の「口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告状」に記載された提出期限までに裁判所へ提出する必要があります。初回期日に出頭する場合でも事前に提出しておくことが望ましいですが、特に初回期日を欠席する場合には必ず事前に提出しなければなりません。提出期限を過ぎてしまった場合でも、初回期日までに届けば受け付けてもらえることが多いですが、できる限り期限内に提出しましょう。

初回期日は条件付きで欠席できる

初回期日(第1回口頭弁論期日)は、訴状が被告に届く前に原告と裁判所の間で決められています。被告にとっては突然訴状が届き、1か月程度の短い猶予期間しかない上に期日は平日に設定されるため、出頭が難しい場合があります。

そのため、初回期日に限り、事前に答弁書を提出しておけば、答弁書の内容を法廷で陳述したものとして扱われる制度があります(民事訴訟法第158条「擬制陳述」)。つまり、答弁書を提出していれば、初回期日に出頭しなくても被告の言い分が裁判所に伝わります。ただし、2回目以降の期日には原則として出頭が必要ですので注意してください。

答弁書を出さずに欠席すると「欠席裁判」になる

答弁書を提出せず、初回期日にも出頭しなかった場合、原告の主張する事実をすべて認めたものとみなされます(民事訴訟法第159条)。これを「擬制自白」といい、被告の反論が存在しないものとして判決が出されます。

この場合、原告の請求どおりの判決(たとえば慰謝料300万円を支払えという判決)がそのまま出される可能性が高くなります。一般的に「欠席裁判」と呼ばれるものです。

判決が確定すると、原告は強制執行(給与や預金の差押えなど)を申し立てることもできますので、訴状を放置すること絶対にしないようにしてください。

よくある勘違いや注意点

訴状を受け取らなければ裁判にならないわけではない

訴状の受け取りを避けたとしても、付郵便送達や公示送達といった方法で裁判手続を進めることができます。受領を拒否しても裁判を止めることはできず、むしろ反論の機会を失うことになります。

訴状の内容がすべて事実とは限らない

訴状に記載されている内容はあくまで原告側の主張です。裁判所が認定した事実ではありません。不貞行為の有無、交際期間、慰謝料の金額などについて、被告側が反論することは当然に認められています。

答弁書に書いた内容は撤回ができない

答弁書で一度認めた事実は、後から撤回することはできません。特に、相手方の主張を安易に認める記載をしてしまうと、その後の裁判で不利になります。答弁書の内容は慎重に検討する必要があります。

訴状が届いたらまず行うべき3つのこと

訴状が届いたら、落ち着いて次の3つを順番に行いましょう。

第一に、「口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告状」を確認し、初回期日の日時、答弁書の提出期限、出頭場所(裁判所名・法廷番号)をカレンダーに書き込みます。提出期限を過ぎてしまうと対応が難しくなりますので、まずは日程の把握が最優先です。

第二に、訴状の内容を読み、何についていくら請求されているのかを確認します。法律用語が多く理解しにくい部分もありますが、「請求の趣旨」の欄を見れば、請求されている金額が分かります。

第三に、答弁書の作成に取りかかります。もっとも、答弁書の記載内容は後の裁判に大きく影響するため、可能であれば弁護士に相談し、答弁書の作成から依頼することが望ましいです。弁護士への依頼が間に合わない場合には、同封の答弁書用紙と記載例を参考にしながら、少なくとも「原告の請求を棄却する。」旨の記載と、認否(認める部分と否認する部分の区別)を慎重に記載して、期限までに提出しましょう。

まとめ

不貞慰謝料請求の訴状が届いた場合、最も重要なのは答弁書の提出期限を守ることです。答弁書を提出せずに初回期日を欠席すると、相手方の主張がそのまま認められる「欠席裁判」となる可能性があります。まずは同封書類で日程を確認し、訴状の内容を把握した上で、答弁書の作成に取りかかりましょう。

答弁書の記載内容は裁判の結果に直接影響するため、できるだけ早い段階で弁護士に相談し、答弁書の作成から依頼できるようにすることが望ましいです。訴状が届いても冷静に対処すれば、被告として適切に反論し、自分の言い分を裁判所に伝えることができます。

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この記事の執筆者
 寺岡法律事務所
 弁護士 寺岡健一(大阪弁護士会)
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