保釈金は返ってくる?返還の時期・条件と没取される場合をわかりやすく解説

保釈金は、裁判が終われば原則として全額返還されます。しかし、保釈中に逃亡したり、裁判所が定めた条件に違反した場合には、保釈金が没取されて戻ってこないことがあります。

このページでは、保釈金の仕組みや返還される時期、没取されてしまう場合について、法律に詳しくない方にもわかりやすく解説します。ご家族が起訴されて保釈を検討している方は、ぜひ参考にしてください。具体的なご事情がある場合は、弁護士への相談もご検討ください。

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保釈金の基本的な仕組みと返還・没取のルール

保釈とは

保釈とは、起訴された後に勾留されている被告人について、裁判所が定めた保釈保証金(保釈金)を納付することで、一時的に身体拘束を解いてもらえる制度です。
保釈が許可されただけでは釈放されず、裁判所が定めた金額の保釈金を実際に納付して初めて釈放されます。

なお、保釈を請求できるのは起訴後に限られ、逮捕・勾留中の起訴前の段階では保釈の制度は利用できません。

保釈金(保釈保証金)とは

保釈金(正式には「保釈保証金」といいます。)とは、保釈を受ける際に裁判所へ納めるお金のことです。

保釈金の目的は、被告人が裁判期日にきちんと出頭し、逃亡や証拠隠滅をしないように担保することにあります。つまり、保釈金は「このお金を失いたくないから、きちんと裁判を受けよう」と被告人に思わせるための制度です。保釈金は罰金とは異なり、条件を守っていれば全額返還されます。

保釈金の金額は、犯罪の性質及び情状、証拠の証明力並びに被告人の性格及び資産を考慮して、被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額として、裁判所が決定します(刑事訴訟法93条2項)。一般的な相場としては150万円~300万円程度ですが、被告人の経済力や事件の重大性によって大きく変動します。ニュースで報道される有名人の保釈金が高額になるのは、被告人の資産が大きいために、通常の金額では逃亡の抑止力にならないと判断されるためです。

保釈金が返還される時期と手続き

保釈金は、裁判が終了すると返還されます。有罪判決であっても、無罪判決であっても、保釈条件を守っていた限り、保釈金は全額返還されます。

返還の時期については、実務上は、判決が出てから数日~1週間程度で返還されるのが一般的です。

返還先は、保釈金を納付する際に届け出た口座に振り込まれます。通常は、保釈手続きを担当した弁護士の口座に振り込まれ、弁護士から本人またはご家族(保釈金を支出した人)に返還されます。

また、保釈は審級ごとに行いますので、第一審の判決が出た時点で、控訴の有無にかかわらず第一審の保釈金は返還されます。控訴審でも引き続き保釈を希望する場合は、改めて保釈請求を行い、新たに保釈金を納付する必要があります。

保釈が取り消されて保釈金が没取される場合

保釈には、住居の制限や特定の人物との接触禁止など、裁判所が定めた条件が付されます。これらの条件に違反した場合や、次のような事情がある場合には、保釈が取り消され、保釈金の全部または一部が没取されます(刑事訴訟法96条1項・2項)。

  • 被告人が召喚を受けたにもかかわらず、正当な理由なく裁判に出頭しなかったとき
  • 被告人が逃亡したとき、または逃亡すると疑うに足りる相当な理由が生じたとき
  • 被告人が罪証隠滅をしたとき、または罪証隠滅をすると疑うに足りる相当な理由が生じたとき
  • 被告人が、被害者やその親族などに危害を加えたり畏怖させる行為をしたとき
  • 被告人が住居の制限その他裁判所の定めた条件に違反したとき

なお、保釈金を第三者(親族など)が負担していた場合であっても、没取の対象となります。保釈金を出した人と被告人が別人であっても、没取を免れることはできません。

保釈金は「支払い」ではない

保釈金について、「お金を支払えば釈放してもらえる」「有罪になったら保釈金は返ってこない」と誤解されている方が少なくありません。

まず、保釈金は罰金や示談金とは異なり、あくまで「預かり金」です。裁判所に一時的に預けるお金ですので、保釈中の条件を守り、裁判に適切に出頭していれば、裁判終了後に全額返還されます。有罪判決が出た場合でも、実刑判決であっても、条件を守っていた限り保釈金は返ってきます。

また、保釈金を納めれば必ず保釈されるわけではありません。裁判所が保釈を許可した場合に限り、保釈金の納付によって釈放されます。重大な犯罪で逃亡のおそれが高い場合などは、いくら高額の保釈金を用意しても保釈が認められないことがあります。

保釈中に守るべきことと注意点

保釈金を没取されず、全額返還を受けるためには、保釈中に裁判所が定めた条件を厳格に守ることが重要です。以下のポイントを意識して生活してください。

まず、裁判の期日には必ず出頭してください。体調不良などやむを得ない事情がある場合は、事前に弁護士に連絡し、裁判所に正当な理由を伝えることが大切です。

次に、裁判所が指定した住居に居住し、許可なく長期間の旅行や転居をしないでください。通勤や通学など日常的な移動は問題ありませんが、出張や旅行で長期間住居を離れる場合は、事前に弁護士を通じて裁判所に相談する必要があります。

また、被害者や共犯者など事件の関係者とは接触しないでください。SNSやメール、電話を含め、あらゆる連絡手段での接触が禁止されるのが通常です。関係者への接触は、証拠隠滅や脅迫とみなされる可能性があります。

保釈中の生活について不安がある場合は、担当の弁護士に相談してください。弁護士は保釈条件の内容について詳しく説明し、日常生活で注意すべき点についてアドバイスすることができます。当然、弁護士からの指示には従うようにしてください。

まとめ

保釈金は、裁判所に預ける「預かり金」であり、保釈中の条件を守って裁判に出頭していれば、裁判終了後に全額返還されます。有罪判決であっても、実刑判決であっても、条件を守っていれば返還される点が重要です。

一方、逃亡や裁判所が定めた条件への違反があれば、保釈が取り消されて保釈金が没取されることがあります。保釈中は、弁護士の指示に従って慎重に生活することが大切です。

保釈の手続きや保釈中の過ごし方について不安がある場合は、刑事事件に対応している弁護士に相談されることをお勧めします。

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この記事の執筆者
 寺岡法律事務所
 弁護士 寺岡健一(大阪弁護士会)
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