不貞慰謝料の電話連絡が続くとき、連絡手段をメール・書面に限定する方法

不貞慰謝料の請求を受けた際、相手方から頻繁に電話がかかってきて困っている方は少なくありません。仕事中や夜間にも電話が鳴り続けると、精神的にも大きな負担になります。

このページでは、過剰な連絡への法的な対処法について解説します。冷静に対応するための参考として、ぜひご覧ください。

なお、過剰連絡を止める手段として、弁護士を窓口とすることもご検討ください。

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不貞慰謝料請求と連絡手段に関する法律知識

不貞慰謝料とは

不貞行為とは、配偶者のある人が配偶者以外の相手と性的関係を持つことをいいます。民法では、夫婦は互いに貞操義務を負っており、不貞行為はこの義務に違反する行為です。

不貞行為が行われた場合、不貞行為をした本人だけでなく、その相手方(いわゆる浮気相手)も、不法行為に基づく損害賠償責任を負います(民法709条、710条)。この損害賠償のうち、精神的な苦痛に対するものを一般に「慰謝料」と呼んでいます。
また、不貞行為は、裁判上の離婚原因の一つとして法律に定められています(民法770条1項1号)。

不貞慰謝料の請求額の相場

不貞慰謝料として最初に請求される金額は、300万円から500万円程度であることが多いです。ただし、これはあくまで請求段階の金額であり、最終的に裁判所が認める金額は、婚姻期間の長さ、不貞行為の期間・回数、子どもの有無、婚姻関係への影響などの事情によって異なります。実際に裁判で認められる慰謝料額は、これよりもかなり低くなります。

電話での連絡に応じる法的義務はない

不貞慰謝料の請求を受けた場合であっても、相手方からの電話に即座に応答しなければならないという法的義務はありません。

そもそも、電話でのやり取りにはいくつかの問題があります。まず、会話の内容が記録に残りにくいため、後から「言った・言わない」の争いが生じやすくなります。次に、その場で回答を求められるため、十分に検討する時間が確保できません。さらに、感情的なやり取りになりやすく、冷静な判断が難しくなる場面もあります。

このような理由から、電話での連絡に無理に応じる必要はなく、自分にとって適切な連絡方法を選ぶことが重要です。

連絡手段をメール・書面に限定することの法的な位置づけ

連絡手段をメールや書面に限定してほしいと相手方に伝えること自体は、法的に何ら問題のない行為です。記録の残る連絡手段を使用することは、双方にとって公平な交渉環境を整えることにつながります。

ただし、こちらが連絡手段を指定したとしても、相手方にはそれに従う法的義務はありません。つまり、メールや書面での連絡を指定したとしても、相手方が電話をかけてくること自体は、それだけでは違法とはなりません。

しかし、連絡手段を書面やメールに指定しておくことには、重要な意味があります。後述するように、過剰な電話連絡が問題となった場合に、「他に連絡を取る方法があったのに、あえて電話を繰り返した」という事実が、相手方の行為の違法性を判断する際の一つの考慮要素になり得るからです。

過剰な連絡が不法行為に該当する場合

相手方からの電話連絡が社会通念上の限度を超える場合には、その連絡行為自体が不法行為(民法709条、710条)に該当し、損害賠償の対象となることがあります。

具体的には、次のような場合が問題となりやすいです。深夜や早朝に繰り返し電話をかけてくる場合、一日に何十回も着信がある場合、勤務先に直接電話をかけてくる場合、本人だけでなく家族や知人に連絡をする場合、脅迫的・侮辱的な言動を伴う場合などです。

もっとも、慰謝料を請求する側にも、自らの権利を行使するために相手方に連絡を取る正当な利益があります。このため、他に連絡を取る手段がない場合には、夜間の連絡や勤務先への連絡であっても、やむを得ないものとして違法と評価されにくくなります。

そこで、あらかじめ書面やメールでの連絡先を相手方に伝えておくことが重要になります。連絡先を明確に提示しているにもかかわらず、それを無視して過剰な電話連絡を繰り返す場合には、「やむを得ず電話をした」という反論を封じることができ、その行為の違法性を主張しやすくなります。

電話連絡が続くときに取るべき具体的な対応

まずは書面またはメールで連絡先を指定する

相手方から電話連絡が続いている場合、まずは書面やメールで、「今後の連絡はメール(または書面)でお願いします」と明確に伝えましょう。その際、連絡先のメールアドレスや住所を記載し、「こちらで確認の上、適切に対応します」という趣旨を添えると、誠実な対応姿勢を示すことができます。

連絡先を指定する際には、書面やメールなど記録に残る方法で行うことが大切です。口頭で伝えただけでは、後から「そのような話は聞いていない」と言われてしまうおそれがあります。

着信拒否やブロックなどの自衛措置をとる

連絡手段を指定した後は、相手方の電話番号を着信拒否に設定したり、SNSをブロックしたりするなどの自衛措置を取ることも有効です。連絡先の指定には強制力がないため、指定しただけでは電話が止まらないことがあります。自衛措置を取ることで、実際に電話による負担を軽減することができます。

なお、着信拒否やブロックをしたとしても、書面やメールでの連絡経路が確保されている限り、交渉を拒否しているとは評価されません。「連絡を無視している」という批判を受けないためにも、代替の連絡手段を明示しておくことが重要です。

対応に迷ったら弁護士への相談を検討する

相手方からの連絡が執拗で対応に困っている場合には、弁護士に依頼することも有効です。弁護士に依頼すると、相手方との連絡窓口を弁護士に一本化できるため、直接の連絡による負担を大幅に軽減できます。

まとめ

不貞慰謝料の請求を受けた際に、相手方からの電話連絡が頻繁に続く場合には、連絡手段をメールや書面に限定するよう指定することが有効です。連絡手段の指定自体に法的な強制力はありませんが、記録の残る方法での連絡を提示しておくことで、交渉を冷静に進めやすくなるだけでなく、過剰な連絡の違法性を主張するための重要な布石となります。着信拒否などの自衛措置と組み合わせることで、実際の負担を軽減しながら、誠実に交渉に応じる姿勢を示すことができます。
過剰な連絡で困っている場合には、弁護士に依頼して連絡窓口を一本化することで、より適切な解決を目指すことが可能です。

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この記事の執筆者
 寺岡法律事務所
 弁護士 寺岡健一(大阪弁護士会)
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