裁判所から届いた答弁書の書き方|訴状が届いたときの対応を弁護士が解説

裁判所から訴状が届くと、同封されている答弁書の用紙に何を書けばよいのか分からず、不安を感じる方が多いのではないでしょうか。答弁書は、訴状に対するご自身の言い分を裁判所に伝えるための重要な書面です。このページでは、答弁書の役割や各欄の書き方、記載にあたって注意すべき点を分かりやすく解説します。

※訴訟段階では弁護士への依頼をご検討いただくことをおすすめします。以下はご自身で対応される場合の参考としてお読みください。

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訴状と一緒に届く書類を確認する

裁判所から届く封筒には、訴状のほかにもいくつかの書類が同封されています。まずはどのような書類が入っているかを確認しましょう。

口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告状

多くの場合、封筒の1枚目に入っている書類です。訴状が裁判所に提出されたこと、第1回口頭弁論期日(裁判の日程)、出頭する裁判所と法廷の番号、答弁書の提出期限などが記載されています。この書類に書かれた期日と提出期限は、今後の対応のスケジュールを決めるうえで非常に重要ですので、必ず確認してください。

訴状

原告(請求をしている側)が作成した書面です。原告が裁判所に求める判決の内容(「●●万円を支払え」など)や、その根拠となる主張(不貞行為を行ったなど)が記載されています。注意していただきたいのは、訴状に書かれている内容はあくまで原告側の主張であり、裁判所が認定した事実ではないということです。

場合によっては、訴状訂正申立書が同封されていることがあります。これは訴状に誤記や不足があった場合に内容を訂正するものですので、訴状の一部として合わせて読んでください。

裁判所からのお知らせ・答弁書の書き方の説明

訴状が提出されたことについての裁判所からの説明文書です。裁判所への出頭や答弁書提出の指示のほか、弁護士への依頼についての案内が書かれています。また、答弁書の記載方法について説明した書面も同封されています。

答弁書用紙

裁判所が用意した答弁書作成用の用紙です。チェックリストや穴埋めの形式になっており、専門知識がない方でも記入できるように工夫されています。法律知識のない本人が作成することを想定されていますので、インターネット上で見かけるような、弁護士が作成する答弁書の書式とは異なります。

証拠の写し・証拠説明書

原告が提出した証拠書類の写しと、その目録である証拠説明書が同封されています。証拠説明書には、それぞれの証拠がどのような事実を証明するために提出されたのかが記載されています。

答弁書とは

答弁書とは、訴状に記載された原告の請求や主張に対して、被告(訴えられた側)としての言い分を記載する書面です。原告の主張する事実を認めるか否か、被告独自の反論があるかなどを裁判所に伝える役割を果たします。

答弁書を提出しないと敗訴するおそれがある

答弁書を提出しないまま裁判の期日にも出席しない場合、原告の主張する事実をすべて認めたものとみなされ、そのまま敗訴することになります。いわゆる欠席裁判と呼ばれるものです。

答弁書の提出による擬制陳述の効果

事前に答弁書を提出しておくことで、第1回口頭弁論期日に出席できなかった場合でも、答弁書に記載した内容を法廷で述べたものとして扱われます。これを「擬制陳述」といいます(民事訴訟法158条)。つまり、答弁書を提出しておけば、やむを得ず第1回期日に出席できない場合であっても、欠席裁判で敗訴することを防ぐことができます。

認否とは

答弁書を作成する際に重要となるのが「認否」です。認否とは、原告が訴状で主張している個々の事実について、被告がそれぞれ「認める」「否認する(間違っている)」「不知(知らない)」のいずれかを回答することをいいます。認否は裁判の争点を明確にするために必要な手続であり、答弁書の中核をなす部分です。

ここで「認める」とした事実は、原則として裁判の前提事実(当事者間に争いのない事実)となるため、後から覆すことができません。そのため、認否は慎重に行う必要があります。

認めなければ和解できないわけではない

「和解したいのだから、相手の言い分をすべて認めたほうがよいのではないか」と考える方がいらっしゃいますが、これは誤解です。和解はあくまで話し合いによる解決であり、訴状の事実をすべて認めなくても和解を希望することは可能です。

すべてを認めてしまうと、原告が和解に応じなかった場合にそのまま敗訴判決が出るリスクがあります。和解を希望する場合であっても、事実と異なる部分や知らない部分については正確に認否を行うことが重要です。

答弁書の各欄の記載ポイント

裁判所から届く答弁書用紙には、主に以下の3つの記載欄があります。それぞれの欄に何をどのように書けばよいか解説します。

「請求の原因に書かれた事実について」の欄

この欄には、訴状の「請求の原因」に記載されている原告の主張に対する認否を記載します。原告の主張する事実について、合っている部分、間違っている部分、知らない部分をそれぞれ記載します。

たとえば、不貞慰謝料の請求であれば、「不貞行為を行ったことは認める」「慰謝料の金額については争う」といった記載が考えられます。

弁護士に依頼する予定がある場合には、この欄には「追って認否する」とだけ記載しておけば問題ありません。弁護士と相談したうえで、後日あらためて詳しい認否を行うことができます。

「私の言い分」の欄

この欄には、原告の主張とは別に被告側から伝えたい事情や反論を記載します。たとえば、「相手方の配偶者がいることを知らなかった」「すでに相手方との間で示談金を支払い済みである」「婚姻関係はすでに破綻していた」などの事情が該当します。

ここに記載した内容は裁判で被告の主張として扱われますので、事実と異なる内容を記載しないよう注意してください。

「話し合いでの解決を希望します」の欄

和解(話し合いによる解決)を希望する場合に記載する欄です。「一定額を支払うことで解決したい」「分割払いを希望する」などの希望がある場合に記載します。

和解は裁判手続の中で行われるもので、双方の合意が必要です。希望を記載したからといって必ず和解が成立するわけではありませんが、裁判所や相手方に和解の意向を伝えることができます。

一度提出した不利な記載は撤回できない

答弁書に限らず、裁判手続において自分に不利な事実を認める記載(自白)をして提出した場合、撤回することができません。これは「自白の拘束力」と呼ばれる法的効果です。

たとえば、慰謝料の請求原因となる事実をすべて認める記載をして提出してしまうと、後からこれを取り消すことはできません。記載にあたっては、事実をよく確認し、慎重に判断することが大切です。

訴状が届いたときにまず行うべきこと

裁判所から訴状が届いた場合、まずは落ち着いて同封書類を確認し、第1回口頭弁論期日と答弁書の提出期限を把握してください。提出期限は通常、期日の1週間前に設定されています。

次に、訴状に記載された原告の主張内容をよく読み、事実と合っている部分、間違っている部分、知らない部分を整理します。この整理が答弁書の認否の基礎となります。

ご自身で対応するか弁護士に依頼するかについても、この段階で検討されることをおすすめします。弁護士に依頼する場合は、答弁書の提出期限までに余裕をもって弁護士に連絡し、間に合わない場合には「追って認否する」旨の簡易な答弁書を提出しておくことで、欠席裁判を回避できます。期限を過ぎてしまった場合でも、期日前であれば提出することが望ましいです。

弁護士に依頼する際は、相談予約、相談、依頼手続き、弁護士による着手という時間がかかるため、余裕をもって相談することが重要です。

まとめ

裁判所から訴状が届いた場合、答弁書を提出しなければ欠席裁判で敗訴するおそれがあります。答弁書には、原告の主張に対する認否、ご自身の言い分、和解希望の有無などを記載しますが、一度提出した不利な内容は撤回ができません。特に認否については、事実をよく確認したうえで慎重に行う必要があります。

裁判手続きは専門性が高く自身で行うことは困難です。上記の通り、一度認めた事実や主張した事実は撤回できませんので、早めに弁護士にご相談されることをおすすめします。

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この記事の執筆者
 寺岡法律事務所
 弁護士 寺岡健一(大阪弁護士会)
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