運送委託者(元請け)に対して高速道路料金を別途請求できるか

トラック運送業において、運賃とは別に高速道路料金を請求できるかどうかは、下請けの運送事業者にとって切実な問題です。この記事では、標準貨物自動車運送約款等に基づき、高速道路料金の請求に関する取扱いを解説します。具体的な対応方法についても触れていますので、お困りの際は弁護士への相談もご検討ください。

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高速道路料金と運賃の関係を理解するための法的知識

「運賃」と「料金」の違いとは

国土交通省が定める標準貨物自動車運送約款では、「運賃」と「料金」は別のものとして区別されています。

「運賃」とは、貨物を出発地から到着地まで運ぶ運送行為そのものに対する対価です。一方、「料金」とは、運送以外の役務やコストに対する対価を指します。具体的には、積込料、取卸料、待機時間料、附帯業務料などがこれにあたります。

この区分は、運送の対価としての「運賃」と、運送以外の役務等の対価としての「料金」を適正に収受できる環境を整備することを目的として設定されました。

そして、高速道路利用料は、この「運賃」にも「料金」にも含まれない別個の費用として位置付けられています。

高速道路利用料は運賃とは別に請求できる

標準貨物自動車運送約款では、運送申込書に記載すべき事項の一つとして、「運賃、料金(利用運送手数料、待機時間料、積込料又は取卸料及び附帯業務料等)、燃料サーチャージ、有料道路利用料、立替金その他の費用(以下「運賃、料金等」という。)の額及び支払方法」と規定しています(標準貨物自動車運送約款第6条第1項第7号)。

この条文の構造から分かるように、「有料道路利用料」は「運賃」や「料金」とは別の項目として列挙されています。つまり、高速道路利用料は運賃に含まれるものではなく、運賃とは別に請求・収受することが約款上、想定されている費用です。

また、国土交通省が告示した「標準的な運賃」においても、高速道路利用料は運賃とは別に収受する項目として明記されています。

元請けが高速道路料金を負担しない場合の問題点

国土交通省が策定した「トラック運送業における適正取引推進ガイドライン(令和7年12月11日改訂)」では、運送受託者が有料道路を利用しなければ、到着できないような運送条件が設定された場合、運送委託者が有料道路利用料金を負担しないことにより、代金を減額することを、問題になる具体的な行為類型として明示しています。

その上で、運送委託者が有料道路料金を負担する条件を十分に協議すること、負担する条件も含めた支払条件を書面で交付することを求めています。

すなわち、委託者が有料道路料金を負担しなければ直ちに違法となるわけではありませんが、運送受託者との協議に応じないことや、委託者の責任で有料道路料金が発生したのにその負担を拒絶する場合には、独占禁止法や取引適正化法(旧下請法)に違反する可能性が生じます。

高速道路料金の請求に向けて取るべき対応

高速道路料金を運賃とは別に請求するためには、まず、現在の契約内容を確認することが重要です。契約書や運送申込書に高速道路料金の負担について明記されているか、「運賃に高速代を含む」旨の合意があるかを確認してください。

明確な取り決めがない場合には、標準貨物自動車運送約款の原則に基づき、高速道路利用料は運賃とは別の費用であることを根拠に、元請けとの交渉を行うことが考えられます。その際、国土交通省のガイドラインに沿って、有料道路の利用条件や費用の負担条件を書面で取り決めるよう求めることが望ましいです。

元請けから高速道路料金の負担を一方的に拒否されたり、既存の運賃を減額される場合には、下請法や独占禁止法に違反する可能性もあります。交渉が難航する場合には、弁護士に相談し、法的な観点から適切な対応を検討することをお勧めします。

まとめ

標準貨物自動車運送約款では、高速道路利用料は運賃とは別の費用として位置付けられており、運賃とは別に請求することが原則です。ただし、当事者間で「高速代込みの運賃」として合意している場合には、すでに行った運送については、別途の請求は困難です。
しかし、その状態を続けることは経営上適切ではなく、独占禁止法や取引適正化法(旧下請法)も踏まえて委託者と交渉を行い、適切な負担を求めることが必要です。

問題の解決にあたっては、弁護士に相談し、適切な法的助言を受けることをご検討ください。

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この記事の執筆者
 寺岡法律事務所
 弁護士 寺岡健一(大阪弁護士会)
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