不貞慰謝料の請求を受けたとき、多くの方が心配されるのが「会社に知られてしまうのか」という点です。社会的評価への影響や職場の人間関係を考えると、この不安は非常に大きいものです。会社に知られることを避けるために高額の不定慰謝料を支払ってしまうケースも少なくありません。
結論から言えば、通常のケースでは会社に知られることはありません。
しかし、例外的に知られてしまう可能性がある場面も存在します。ここでは、どのような場合に会社へ情報が伝わってしまうのか、またそれを避けるためにどのような対応が必要なのかを整理します。
通常は会社に知られることはない
不貞慰謝料請求は、当事者間の民事トラブルであり、第三者である勤務先に知らせる必要はありません。
相手方が会社に連絡したとしても、プライバシー侵害や名誉毀損に該当するおそれがあり、正当な理由がなければ許されません。
そのため、適切に対応していれば会社に情報が伝わることはなく、日常生活や勤務先に影響が及ぶことはほとんどありません。
会社に知られてしまう可能性のある場合
一方で、以下のような特定の場面では、会社に知られてしまうリスクが生じます。
① あなた本人に連絡がつかない場合
請求者があなたと直接連絡を取ることができず、住所や電話番号が不明、または応答が得られない状況が続く場合、
「本人に連絡を取るための手段として、勤務先へ連絡が許される」
場合があります。
もっとも、これは例外的なケースであり、本人と連絡が取れないためやむを得ず使用される手段です。
このため、適切な対応を取っておくことで会社への連絡を防ぐことができます。
◆ 予防策
- 弁護士に依頼して、請求者との窓口とする
- 内容証明郵便で「窓口が弁護士であること」を明確に通知する
これらの手続きを取っておくことで、相手が会社に連絡する理由がなくなり、仮に連絡をされた場合にはそのことを逆に不法行為として主張できる場合があります。
② 判決が出たのに支払わない場合(強制執行)
訴訟の結果、慰謝料の支払いを命じる判決が確定したにもかかわらず、支払いを行わない場合には、相手方は 給与の差押え を申し立てることができます。
給与差押えが実行されると、裁判所から勤務先へ差押の通知がされるため、これによって会社に知られることになります。
◆ 予防策
- 訴訟段階から弁護士を通じて適切に反論・主張を行う
- 判決後は速やかに支払手続を行う
- 支払いが困難な場合は分割払いの交渉を行う
ポイントは、支払い義務が確定した後に放置しないことです。
会社に知られないための基本的な対応
会社に知られるリスクを避けるためには、以下の3点が重要です。
- 請求を無視しない
無視すると「所在不明」「連絡不能」と判断され、勤務先へ連絡される可能性が生じます。 - 手続の段階ごとに適切な対応をとる
交渉段階では弁護士に依頼して連絡窓口を明確にし、訴訟段階では主張と証拠を整理することが必要です。 - 判決が出たら速やかに履行する
差押えによる勤務先への通知を避けるためには、判決後の対応が極めて重要です。
まとめ
不貞慰謝料請求を受けたとしても、通常は会社に知られることはありません。
知られる可能性が生じるのは、
- 本人と連絡がつかない場合
- 判決後に支払わず差押えが行われた場合
の2つです。
これらは、適切な手続きを踏むことで十分に回避できる事態です。
不安を抱えたまま放置してしまうと状況が悪化するため、早めに対応しておくことが重要です。