示談書にサインしたが控えをもらえないときの対応

示談書にサインしたのに、相手から控えが届かない――。慰謝料の金額や支払期限を確認できないまま、支払うべきか迷っていませんか。本記事では、控えがない示談書の効力、写しの交付を求める方法、支払前に取るべき対応のポイントを弁護士が解説します。

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示談書の控えを渡してもらえない場合の法律的な考え方

示談書とは

示談書とは、当事者間で生じた紛争について、裁判によらず話し合いで解決した内容を書面化したものです。法的には、和解契約(民法第695条)に該当します。

不倫の慰謝料に関する示談書では、慰謝料の金額、支払時期や方法、今後の接触禁止、口外禁止、清算条項など、当事者間の合意した内容が記載されます。

控えがなくても示談書は成立している

契約は、当事者の合意によって成立します(民法第522条第1項)。書面の作成や交付は成立の要件ではなく口頭の合意のみでも成立します(同2項)。

つまり、署名した示談書を相手方が持ち帰り、こちらの手元に控えがない状態であっても、その示談書の内容について合意がなされている限り、契約自体は有効に成立していることになります。慰謝料の支払義務や支払期限についても、書面を所持しているかどうかとは別に、合意内容に従って効力を生じている扱いになります。

控えの交付を義務付ける一般的な規定はない

契約書は、当事者の人数分を作成して各自が一通ずつ保管するのが実務上の慣行です。ただし、法律上、必ず控えを交付しなければならないと定めた規定が存在するわけではありません。

そのため、控えを交付しないことを違法であると主張したり、控えの交付を強制することもできません。

控えがなくても示談は有効

契約成立に書面は不要であり、控えの交付を義務付ける規定がない以上、控えがなくても示談は有効に成立しています。控えを交付されないからといって、合意を無効にすることはできません。

もっとも、相手方だけが原本を保管している状態では合意内容を確認することができません。さらに、相手方が合意書を隠せば、合意など存在しないと言われるリスクもあります。

控えがないまま支払うのは危険

控えが手元にない場合は、支払内容、支払方法、清算条項などの示談内容を確認することができません。さらに、相手が合意書を隠したり廃棄すると、合意など存在しないと言われる危険もあります。この場合、慰謝料を支払ったのに、「あれは慰謝料ではなく別の支払だ。改めて慰謝料を支払え。」「あれは一部の支払である。残額を支払え。」などと言われる危険もあります。
このように、控えの交付を受けないまま支払いを行うことには、紛争を蒸し返される危険が存在します。

示談書の控えが手元にないときに取るべき対応

書面で写しの交付を求め、内容を確認するまでは支払いを急がない

まずは、相手方に対して示談書の写しの交付を求めることが基本です。電話やメッセージアプリだけでのやり取りでは「言った・言わない」の問題になりかねないため、内容証明郵便など記録に残る方法での請求が確実です。

また、控えが手元に届くまでは、支払いを拒絶するようにします。振込先や金額が示談書の内容と一致しているかを確認できないまま支払うと、後で紛争を蒸し返される危険があります。

もちろん、示談書で合意した支払期限を徒過することになるため、相手からは支払遅滞の主張をされる危険があります。
しかし、それ以上に、合意書の控えがないまま支払いを行うことによる蒸し返しの危険の方がはるかに大きいといえます。

まとめ

示談書にサインした以上、控えが手元になくても和解契約は有効に成立しているのが原則です。もっとも、控えがないまま支払いを進めると、合意内容を確認できないだけでなく、相手方に合意の存在自体を否定されるなど、紛争を蒸し返される危険があります。まずは書面で写しの交付を求め、内容を確認したうえで支払いを行うことが重要です。判断に迷う場合は、支払前に一度弁護士へご相談ください。

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この記事の執筆者
 寺岡法律事務所
 弁護士 寺岡健一(大阪弁護士会)
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