不倫相手の配偶者から「渡したプレゼントを返してほしい」と請求された――。法律上返す義務があるのか、無視してよいのか迷う場面です。本記事では、贈与契約の効力、配偶者の請求権、慰謝料請求との違い、返還を求められたときの対応を解説します。
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目次
プレゼントの返還義務に関する法律の考え方
贈与とは
法律上、無償で物や金銭を渡すことを「贈与」といいます(民法第549条)。契約書などの特別な様式は必要ありません。
誕生日や記念日に渡されたアクセサリー、衣類、ブランド品など、交際中のプレゼントは、この贈与契約に該当します。
受け取ったプレゼントの所有権は受け取った側に移転する
贈与契約が成立した場合、その物の所有権は受け取った側に移転します。所有権が移転するということは、その物を自分の判断で使用し、保管し、処分することができるという意味です。
贈与した側であっても、一度渡した物の返還を求めることはできません。
配偶者からの返還請求は認められない
不倫関係にあった相手の配偶者は、そもそもプレゼントの贈与契約の当事者ではありません。
所有権もなければ契約当事者でもない配偶者から、プレゼントの返還を求めることはできません。
「不倫がからんでいるから贈与は無効」ではない
「不倫が関係しているのだから、贈与契約自体が無効になるはずだ」と主張されることがあります。
確かに、民法第90条には「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする」と定められています。いわゆる「愛人契約」のように、不倫関係の維持や継続そのものを目的とした金銭の授受などは、公序良俗に反するとされ、無効と判断される余地があります。
しかし、そのように評価されることは稀であり、通常のプレゼントについて、公序良俗違反として無効になることはないと考えてよいです。
慰謝料請求とプレゼントの返還は別の問題である
配偶者の不貞行為によって精神的苦痛を被った場合、もう一方の配偶者は不貞相手に対して慰謝料を請求することができます。これは、民法第709条が定める不法行為に基づくものです。
不倫関係の中で、配偶者から不貞相手へ高額な金銭やプレゼントが贈られていた事実は、慰謝料の金額を判断する際の事情として考慮される場合があります。しかし、これはプレゼントの返還義務とは全く別の問題となります。
プレゼント返還を求められたときに取るべき対応
配偶者から返還を求められたときは、その場で回答する必要はありません。落ち着いて持ち帰った後で文書で回答するようにしましょう。
法的に返還義務がない以上、返還に応じる必要はありません。返還する場合には、返還する物、返還する方法、期日などを明確に合意します。また、義務がないにもかかわらず返還する以上は、慰謝料の減額などと引き換えにするようにします。
内容証明郵便が届いたり、示談書への署名を求められたりした段階では、署名する前に弁護士へ相談することをおすすめします。
まとめ
不倫相手の配偶者からプレゼントの返還を請求されても、配偶者は贈与契約の当事者ではなく、返還を強制することはできません。ただし、慰謝料の問題はプレゼントの返還とは別に存在するため、両者を混同して対応しないことが重要です。返還の合意や減額交渉を誤ると不利益を受けかねません。安易に「返します」「払います」と答える前に、一度弁護士へご相談ください。
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この記事の執筆者
寺岡法律事務所
弁護士 寺岡健一(大阪弁護士会)
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