不貞慰謝料を請求されたら会社にバレる?勤務先に知られるケースと予防策

不貞慰謝料の請求を受けたとき、「会社に知られてしまうのではないか」という不安を抱える方は少なくありません。適切に対応していれば、勤務先に知られることはありません。ただし、対応を誤ると例外的に会社に伝わってしまう可能性もあります。

このページでは、どのような場合にそのリスクが生じるのか、またそれを防ぐための方法について解説します。

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不貞慰謝料と勤務先への連絡に関する法律上のポイント

不貞慰謝料請求とは

不貞慰謝料請求とは、婚姻関係にある配偶者の一方が、第三者と不貞行為(性的関係)をもった場合に、精神的苦痛を受けた配偶者が、不貞行為の当事者に対して損害賠償を求めるものです。法律上の根拠は、民法709条(不法行為に基づく損害賠償)および民法710条(精神的損害に対する賠償)にあります。

原則として勤務先に通知されることはない

不貞慰謝料の請求は、請求者と被請求者(不貞行為をした当事者)との間で行われるものです。この請求において、勤務先に連絡する法的な必要性はありません。交渉も、内容証明郵便や弁護士を通じた通知によって本人宛に行われるのが通常の手続きです。

仮に請求者が被請求者の勤務先に対して不貞の事実を告げた場合、それはプライバシー侵害や名誉毀損に該当する可能性があります。不貞行為の事実は、一般的に公開を望まない私生活上の情報にあたるため、正当な理由なく第三者に開示することは違法となり得ます。

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例外的に勤務先に知られる可能性がある2つの場面

原則として勤務先に知られることはありませんが、以下の2つの場面では例外的にそのリスクが生じます。

本人に連絡がつかない場合

請求者が被請求者に連絡を取ろうとしても、住所が不明であったり、電話に応答がなかったり、内容証明郵便が届かなかったりする場合、請求者側としては本人に接触する手段が限られます。このような状況が続くと、やむを得ない手段として勤務先への連絡が許容される場合があります。

もっとも、これは「本人に連絡を取ることが目的」であり、不貞の事実を勤務先に知らせること自体が目的ではありません。したがって、連絡が取れる状態であるにもかかわらず勤務先に連絡された場合には、前述のとおりプライバシー侵害や名誉毀損として違法となる可能性があります。

また、訴訟が提起される場合にも注意が必要です。訴訟の提起にあたっては訴状の送達が必要ですが、自宅住所が不明の場合には「就業場所における送達」(民事訴訟法103条2項)が認められることがあります。この場合、裁判所から勤務先に訴状が届くことになり、結果的に勤務先に事情が伝わる可能性があります。

判決後に支払いをしない場合(給与の差押え)

訴訟の結果、慰謝料の支払いを命じる判決が確定したにもかかわらず支払いをしない場合、請求者は強制執行として給与の差押えを申し立てることができます。

給与の差押えが行われると、裁判所から勤務先(法律上「第三債務者」と呼ばれます)に対して「債権差押命令」が送達されます。この命令を受けた勤務先は、差押えの対象となる給与部分を被請求者に支払うことが禁止され、代わりに請求者(債権者)に支払う義務を負います。この手続きにより、勤務先は差押えの事実とその原因を知ることになります。

不貞を理由に解雇されるわけではない

不貞慰謝料の請求を受けた方の中には、「会社に知られたら解雇されるのではないか」と心配される方もいます。しかし、不貞行為は私生活上の問題であり、業務とは直接関係がありません。私生活上の行為を理由とする解雇は、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認められず無効になる可能性が高くなります。

ただし、不貞行為の相手が同じ職場の関係者であり、不貞行為が業務に具体的な支障を生じさせている場合など、例外的に懲戒処分の対象となる可能性は否定できません。もっとも、このようなケースはごく限られた場面であり、通常の不貞慰謝料請求で解雇にまで至ることはほとんどありません。

会社に知られないために取るべき3つの対応

勤務先に不貞慰謝料の問題が伝わるリスクを回避するためには、以下の3点を意識して対応することが重要です。

請求を無視しないこと

慰謝料の請求書や内容証明郵便が届いた場合に、これを無視してしまうことは避けるべきです。応答がないと、請求者側は「本人に連絡がつかない」と判断し、勤務先への連絡や訴訟の提起に踏み切る可能性が高まります。請求内容に同意できない場合であっても、まずは何らかの応答をすることが大切です。

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弁護士を窓口として明示すること

弁護士に依頼し、連絡窓口が弁護士であることを相手方に明確に伝えることで、相手方が勤務先に連絡する理由がなくなります。弁護士が受任通知を送付すれば、以後の連絡はすべて弁護士を通じて行われることになるため、本人に直接連絡が来ることも、勤務先に連絡が行くことも防ぐことができます。弁護士を窓口にしているにもかかわらず勤務先へ連絡がなされた場合には、そのこと自体が不法行為に該当し得るため、逆に損害賠償を請求できる可能性もあります。

判決後は速やかに対応すること

万が一訴訟に発展し、慰謝料の支払いを命じる判決が出た場合には、速やかに支払いの手続きを進めることが必要です。判決を放置すると給与の差押えに至る可能性があり、これが勤務先に知られる最大の原因となります。一括での支払いが困難な場合には、分割払いの交渉を行うことで差押えを回避できる場合があります。

まとめ

不貞慰謝料の請求を受けた場合でも、通常のケースでは勤務先に知られることはありません。勤務先に情報が伝わる可能性があるのは、本人に連絡がつかず勤務先への連絡がやむを得ないと判断された場合と、判決後に支払いを怠り給与の差押えが行われた場合の2つに限られます。

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この記事の執筆者
 寺岡法律事務所
 弁護士 寺岡健一(大阪弁護士会)
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