【解決事例】争いがなくても関係者が多く手続きが複雑になった相続事案

相談に至った経緯

Xさんのお父様である甲さんが亡くなり、相続手続きを進める必要がありました。

相続手続きには、相続人全員による遺産分割協議が必要ですが、甲さんには前妻との間のお子さんであるZさんがいました。しかし、Zさんの住所が分からず、連絡を取ることができない状況でした。

さらに、甲さんの妻でありXさんのお母様にあたるYさんは、病気により意思表示ができない状態でした。このため、遺産分割協議を行うことができず、相続手続きが進まない状況となり、相談に訪れました。

当事務所で行った対応

1 相続人・財産の調査

戸籍や住民票を調査した結果、Zさんが四国に居住していることが判明しました。
また、預貯金の調査を行ったところ、依頼者が把握していた3口座のほかに、未把握の口座が1つ見つかり、合計4口座あることが分かりました。

2 後見開始の申立て

Yさんは意思表示ができない状態であったため、そのままでは遺産分割協議や調停を行うことができません。
そこで、家庭裁判所に後見開始の申立てを行いました。
裁判所の判断により、Xさんが後見人に選任され、YB弁護士が後見監督人に就任しました。

3 遺産分割調停

Zさんの住所が判明し、Yさんに後見人が付いたことで、相続手続きを進めることが可能になりました。
Zさんが遠方に住んでおり直接の話し合いが難しかったため、当初から家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることになりました。

調停には、当職、Zさんが依頼したZB弁護士、Yさんの後見監督人であるYB弁護士が出席しました。
約6か月間にわたり5回ほど期日を重ねた結果、合意が成立しました。
調停結果は、Xさんがすべての遺産を相続し、YさんとZさんには法定相続分に応じた代償金を支払うという内容になりました。
※ 弁護士に依頼していたため、Xさんご本人が調停に出席する必要はありませんでした。

4 預貯金の解約手続き

Xさんに委任状を作成していただき、調停結果に基づいて、弁護士が代理してXさんが相続した銀行口座の解約手続きを行いました。
解約した預貯金を、代償金の支払いに充て、支払手続きも弁護士が代理して行いました。

5 不動産の売却

Xさんは、相続した不動産に居住する予定がなかったため、売却することになりました。
弁護士が旧知で信頼できる不動産業者を2社紹介し、売却を進めました。

約2か月で買主が見つかり、売買契約と同時に相続登記と売買による所有権移転登記を行いました。
登記手続きは、弁護士の旧知の司法書士に依頼しました。

結果

住所不明の相続人や、意思表示ができない相続人がいる状況でしたが、適切な手続きを行うことで、無事に遺産分割を完了することができました。
あわせて、預貯金の解約、不動産の売却、登記手続きまで一通りの相続関連手続きがすべて終了しました。

今回の相続を整理して完了させたことで、将来Xさんから次の世代への相続が複雑になることも防ぐことができました。
争いがない場合でも、関係者が増えることで相続手続きが複雑になります。このような場合、手続きを放置してしまい、時間が経つことでさらに手続きが大変になってしまうことがあります。
今回のXさんのように、早めにご相談いただくことで、適切な手続きが可能になりますので、弁護士に相談してみるようにしてください。

この記事の執筆者
 寺岡法律事務所
 弁護士 寺岡健一(所属弁護士会:大阪弁護士会)