無期拘禁(無期懲役)とは?

先日、安倍元首相の銃撃事件について無期判決のニュースがありました。
このページでは、無期拘禁(無期懲役)について解説します。

無期拘禁とは(無期懲役との関係)

「無期懲役」は、刑期(年数)を定めず、刑事施設に収容し続ける刑です。近年は制度・用語が変わっていて、懲役・禁錮が廃止され、「拘禁刑」に一本化されました(法律上は「無期懲役」ではなく「無期拘禁刑」という表記が基本になります)。
※ただし、事件の日付(改正前後)などにより、報道や裁判の場面で「無期懲役」という言葉が引き続き使われることになります。

無期拘禁になり得る罪

無期拘禁規定されているのは、「最も重い部類の犯罪」です。
殺人、強盗致死、現住建造物等放火などについて無期拘禁刑が規定されています。

なお、強盗致死については、死刑か無期しか規定されておらず、闇バイトで強盗を行い人を死亡させた場合や、万引き後に逃走のために人を死亡させた場合にも、最低でも無期拘禁となります。

無期(無期懲役)で仮釈放を受けられる「最短の期間」

無期の受刑者も、制度上は仮釈放の対象になります。
無期刑の場合には、最短で10年で仮釈放を受けられることになります(刑法28条)。

実際の仮釈放の可能性

法務省の公表資料

法務省の発表によると過去10年間の、仮釈放になった無期受刑者の人数と死亡した無期受刑者の人数、仮釈放された人の平均在監期間は次の通りです。

仮釈放(人)死亡(人)年数
平成26年72331年4月
平成27年112231年6月
平成28年92731年9月
平成29年113033年2月
平成30年102431年6月
令和元年172136年
令和2年142937年6月
令和3年92932年10月
令和4年64145年3月
令和5年83037年4月

実際の仮釈放の可能性

この表を見ると、仮釈放をされるのは一部の受刑者であり、大半の受刑者は在監のまま死亡していることが分かります。仮釈放を受けられる場合でも、30年後半から40年以上の在監期間があることが分かります。
つまり、限定された一部の受刑者(模範囚)が40年程度の在監期間を経て仮釈放される可能性があるにとどまります。

よくある勘違い

まれに「仮釈放は10年で出られる」と説明されることがありますが、実態に即しない単純化しすぎた説明ということになります。

この記事の執筆者
 寺岡法律事務所
 弁護士 寺岡健一(大阪弁護士会)