家族が逮捕されたとき、どのようなサポートをする必要があるか相談を受けることがあります。
薬物事件では、他の事件以上に家族のサポートが重要になります。このページでは、薬物事件で家族が逮捕されたときのサポートについて弁護士が解説します。
目次
まず押さえたい「身柄事件」の流れ(逮捕〜勾留〜起訴)
警察が逮捕した場合、被疑者を身体拘束した時から48時間以内に検察官に送致します(刑事訴訟法203条)。検察官は送致を受けた後24時間以内に勾留請求をします(同205条)。実際には、逮捕された翌日には勾留手続きがされることが多いです。この期間は、検察庁に行ったり裁判所に行ったりしているため、警察署に行っても面会はできない場合があります。
勾留が決まると、最大で20日間身柄拘束をされます(同208条)。この期間は捜査のための身柄拘束期間であり、この期間中は保釈はできません。
捜査が終わると起訴がされます。
このような流れであるため、逮捕されてから22日以内には起訴をされるということになります。
言い換えると22日後には保釈が可能になると言えますので、それまでに保釈請求の準備をしておくことが望ましいです。
弁護人との接見は自由にできる
弁護人が本人と面会(接見)することは、自由に行えます。警察官の立ち合いもなく面会することができます(刑事訴訟法39条1項)。
家族としては、弁護人を通じて「何が起きているか」「今後の見通し」「家族がすべき準備」を聞くことができますが、あくまでも本人の弁護人という立場上、聞いた内容のすべてを伝えられるとは限りません。
家族の面会は制限されることがある(接見禁止)
捜査に支障が出るおそれがある場合、裁判官が接見指定等により、弁護人以外の者との面会や書類・物の授受を制限する決定をすることがあります(刑事訴訟法81条)。
薬物事件では接見禁止がされることは少ないですが、他の犯罪への関与を疑われていたり、共犯者がいる場合には接見禁止が付されることがあります。
なお、弁護人以外が接見をする場合には警察官が同席するので、秘密の会話をすることはできません。
薬物事件では家族のサポートが重要
薬物使用は依存状態からの脱却が重要になります。
社会関係(仕事・家族関係)からの断絶があると、再使用のリスクが高まるため、家族が「孤立を防ぐ」「生活基盤を整える」「治療・支援につなぐ」などのサポートを行うことが、再犯の防止や執行猶予の獲得に影響を及ぼします。
こまめな面会
身柄拘束中はとても不安になります。こまめに面会に行って、元気づけることで孤独ではないと実感してもらうことが重要です。
面会は長時間でなくても構いません。短い面会でも定期的に続くと、「社会や家族から見放されていない」という感覚につながります。事件の中身を詰めるより、体調・睡眠・必要な差入れ、今後の手続の見通しなど、落ち着いて日常的な話をするようにしましょう。また、本人が話したがらない日は無理に話さなくてよいので、次の面会日程を約束するだけでも支えになります。
保釈への協力
保釈を獲得することに協力することも重要なサポートになります。保釈後の住居や仕事・通院先を早めに整えることは、再犯防止の土台にもなります。
保釈をするためには、保釈保証金(いわゆる保釈金)の準備と、身元引受というサポートが必要になります。身元引受では「同居して見守る」「外出や交友関係のルールを作る」「通院や相談に同行する」「生活時間を安定させる」など、逃亡や罪証隠滅を防ぐことに加えて、再犯の誘惑が発生しないような生活をさせることも重要になります。
薬物依存からの脱却の支援
薬物依存は簡単に脱却できません。薬物依存の脱却支援機関につながることを援助するなどの支援が考えられます。
たとえば、相談先の候補を調べるなどの準備は家族にもできます。なによりも、社会復帰を待っている人がいることを意識することが、回復に向けた強いモチベーションになります。支援につながることで、本人だけでなく家族の負担も軽減されます。
弁護人の選任
私選の弁護人を選任することも重要なサポートになります。
高い費用を支払って私選の弁護人を選任してくれたことは、本人にとって心強い支えになりますし、そのような負担を請け負ってくれる人がいること自体が社会復帰のモチベーションになります。
まとめ
薬物事件で家族が逮捕されたときは、面会で孤立を防ぐこと、保釈に向けて生活基盤と身元引受の準備をすること、そして依存からの回復支援につなぐことが重要です。
手続の期限や面会制限などルールもあるため、状況に応じて弁護人と役割分担しながら、再犯防止のための具体的な生活設計を整えていくのが現実的です。
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この記事の執筆者
寺岡法律事務所
弁護士 寺岡健一(大阪弁護士会)