中小企業の未払売掛金請求で使う内容証明郵便の書き方と注意点

取引先からの入金が遅れたり、請求書を送っても反応がないとき、内容証明郵便は債権回収のための最初の行動になります。内容証明は強制的に回収できる手段ではありませんが、送った内容と差出日・到達日を証拠として残せるため、交渉や次の手続きの入り口になります。
このページでは、中小企業向けに内容証明郵便の基本についての解説をします。

内容証明郵便の解説

内容証明郵便とは

内容証明郵便は、「いつ、どのような内容の文書を、誰から誰あてに差し出したか」を、郵便局が証明する制度です。
債権回収の場面では、請求(催告)や契約解除の通知など、後で争いになり得る意思表示を証拠化する目的で使われます。

証明されること・されないこと

内容証明で証明されるのは、文書の内容、差出人、受取人、差出日です。
文書に書いた内容が真実かどうか(支払義務があるか、そのような事実があったか)などは証明されません。また、通常は配達証明も同時に付けることで、到達日も証明できるようにします。

時効における内容証明の位置づけ

時効の完成間際であり、訴訟提起の準備が間に合わないような場合には、催告を行うことで、時効の完成が6か月間猶予されます。
内容証明で請求をした場合には、催告の効力が生じ、時効の完成が猶予されるため、その期間に訴訟提起の準備をします。
※催告だけでは猶予期間が過ぎると時効が完成してしまうため、訴訟の提起を行う必要があります。

郵便局で受理されるためのルール

内容証明郵便は、その性質上、細かい様式の規定があります。
細かい決まりは郵便局のページをご参照ください。
主なポイントは次の通りです。

  • 郵便局の窓口で差し出す
    自分で封筒などに入れてポストから発送することはできません。
  • 同じものを3通用意する
    郵便局保管用、相手方送付用、差出人控えの3通を用意する必要があります。
  • 文字数などの決まりがある
    1行当たりの文字数、1ページ当たりの文字数、句読点の数え方など細かい決まりがあります。いわゆる普通の手紙の書き方で記載することはできません。
  • 資料の同封はできない
    添付書類などを同封することはできません。資料を送る必要がある場合には別途普通郵便などで発送することになります。

よくある勘違い

  • 支払いを強制する効力はない
    強制執行には、判決等の債務名義が必要です。内容証明には請求権の存否を確定させたり、支払いを強制させる効果はありません。
  • 強い言葉で書けば効果が高いわけではない
    支払わないと詐欺で告訴する、などの強い言葉を入れる方がいますが、強い言葉を使っても強制力はありません。むしろ、これらの言葉を入れると脅迫罪などが成立することがあり、別の紛争が発生することがあります。
  • 時効が止まるわけではない
    催告による猶予は6か月です。訴訟提起などに移行しなければ猶予期間経過後に時効が完成します。

記載内容のポイント

内容証明郵便に最低限記載すべきポイントは次のものです。

  • 当事者
    誰が、誰に対して送る文書なのかを記載します。「●●御中」など、一般的な郵便の書き方で大丈夫です。
  • 請求内容の特定
    契約、発注日、納品日、納品内容、請求書番号などを使用して、どの取引によって発生した、何円の支払いを求めるのかを記載します。
  • 支払方法
    振込口座、支払期日など、支払方法の明示をします。
  • 訴訟移行の通知など
    一般的には、期日までに支払いがなければ法的手続に移行する内容を記載します。この記載がなければ訴訟提起できないわけではありません。

まとめ

内容証明郵便は「どんな内容を、いつ差し出したか」を証明し、交渉や手続の前提資料にするための手段です。請求権の存在や事実の証明をできるわけではありません。
内容証明郵便の効果の限界を踏まえて、次の手続きも考慮しておきましょう。

※中小企業のページはこちら

この記事の執筆者
 寺岡法律事務所
 弁護士 寺岡健一(大阪弁護士会)
 ※弁護士紹介ページはこちら

全国どこでも、ご自宅から、オンラインで相談・依頼をお受けしています。
※オンライン相談はお使いのPCまたはスマートフォンで可能です。