少額訴訟で売掛金を回収できる?適したケースと注意点を弁護士が解説

売掛金の回収手段として少額訴訟というものがあります。通常の訴訟よりも簡易の手続きであるため、少額の債権の回収に向いていますが注意点も存在します。
このページでは、少額訴訟で売掛金(未払い代金)を回収できる場面・向かない場面、手続の流れ、注意点を解説します。

少額訴訟で売掛金を回収するための法律ポイント

少額訴訟とは

少額訴訟は、60万円以下の金銭の支払を求める事件について、簡易裁判所で1回の期日で審理し、迅速な解決を図る手続です。証拠はその場で直ちに調べられるものに限られます(民事訴訟法368条以下)。

少額訴訟が向くケース

少額訴訟が向くのは、次のように争点が単純で、書面で証明できる、少額の売掛金です。

  • 請求額が60万円以下(少額訴訟の要件)
  • 発注→納品(役務提供)→請求→期日到来→未払いという流れが、契約書・注文書・納品書・請求書・メールなどで追うことができる(証拠の制限)
  • 期日に担当者が出頭でき、1回で主張立証が完結する

相手が争わない見込みが高い場合は、期日に出頭不要で手数料が訴訟の半額となる支払督促も候補になります(こちらは、異議が出ると通常訴訟へ移行します)。

手続の流れと証拠のそろえ方

少額訴訟は、(1)訴状提出→(2)期日指定・送達→(3)1回の期日に主張と証拠を確認→(4)和解または判決→(5)未払いなら強制執行、という流れで進みます。
売掛金で立証が必要になる事実は、契約の存在、履行(納品)、代金額、支払期日などです。契約書・注文書・納品書・請求書・入金明細等を証拠として提出することになります。

注意点:少額訴訟のリスクやデメリット

  • 通常訴訟への移行
    相手の申出があると通常手続に移行します。
  • 年間10回の制限
    同一原告が同一簡易裁判所で少額訴訟を使える回数は年間10回までとされています。
  • 分割払・支払猶予の判決
    請求が認められても、裁判所の判断で支払猶予や分割払の判決が出ることがあります。
  • 不服申立ては異議
    判決に不服がある場合には、不服申立てを行うことができますが、これも簡易裁判所での審理になります。控訴(地方裁判所や高等裁判所での審理)はできません。

費用の目安と書式

訴状に貼付する収入印紙は、請求額により決まります。裁判所が手数料早見表を公表していますのでこちらを参照してください。例として、60万円の請求をする場合は6,000円です。
このほか郵便料(切手代)が必要で、裁判所ごとに異なりますので、各地の裁判所のページを参照してください。
訴状の書式は裁判所のページから入手できます。

まとめ

少額訴訟は、少額の債権を短い審理期間で回収することのできる手段です。一方で、手続きの簡便さと引き換えに様々な制約があります。
相手方や争点の内容に応じて適切な手段を選択するようにしましょう。

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この記事の執筆者
 寺岡法律事務所
 弁護士 寺岡健一(大阪弁護士会)
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