薬物事件では不起訴になることはほとんどありません。
このページでは、薬物事件における捜査や不起訴の可能性について解説します。
不起訴と薬物事件の関係
不起訴処分とは
不起訴処分とは、検察官が事件を終わらせる最終判断のうち「公判請求(起訴)をしない」というものです。不起訴になると、その事件は刑事裁判に進まず、刑罰も科されません。もちろん、前科も付きません。
不起訴の主な理由
不起訴には、主に次のパターンがあります。
- 嫌疑なし:そもそも犯罪が成立しない、又は本人が犯人でないことが明らかな場合
- 嫌疑不十分:犯罪の成立や本人関与を「有罪にできる程度」まで立証する証拠が足りない場合
- 起訴猶予:犯罪は成立し、立証も可能だが、事情を踏まえて起訴しない判断(刑事訴訟法248条)
薬物事件における不起訴
薬物事件は、社会的な悪影響が強く、非常に重い罪であると考えられているため、十分な証拠があるが、事情を踏まえて起訴をしないという判断(起訴猶予)をされることは稀です。
一方で、薬物事件では、薬物を所持していたこと自体で犯罪が成立しますし、尿などから薬物が検出されたことで使用の十分な証拠になります。このため、所持していた物品が薬物であることが鑑定で判明したり、尿を鑑定して薬物が検出されれば、裁判で有罪を立証できる可能性が高くなります。
つまり、薬物事件では嫌疑なしや嫌疑不十分であるとして不起訴になることも稀です。
このため、薬物事件については、実際に捜査が始まった後で不起訴になることは稀となります。
捜査自体が始まっていないことがある
一方で、捜査機関としては、被疑者を逮捕したり、実際に捜査を開始する場合には、先にある程度の犯罪の疑いが必要になります。一般的には、被疑者が持っていた物から薬物が検出されたり、提出された尿から薬物が検出されたりといった事情があって、初めて逮捕されたり捜査が開始されます。
言い方を変えると、物や尿を提出した場合でも、鑑定が終わる前は捜査自体が始まっていないことがあります。捜査が始まっていないため、起訴・不起訴という判断自体がされません。この場合には、前科はもちろん、前歴も付かないことになります(前科と前歴についてはこちらのページで解説しています。)。
捜査官に物を提出したものの、逮捕も取り調べもされていない場合には、捜査が始まっていない場合があります。この場合には、捜査自体が始まっていないため不起訴にはなりません。
まとめ
薬物事件では不起訴になる可能性は低いです。しかし、それは実刑になることを意味するわけではありません。保釈、薬物依存の脱却、社会復帰の準備などを行って、執行猶予の獲得を目指すようにしていきましょう。
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この記事の執筆者
寺岡法律事務所
弁護士 寺岡健一(大阪弁護士会)
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