不貞慰謝料請求において、相手方からやましいことがなければスマートフォンの履歴を見せろなどと言われることがあります。
このページでは、これらの履歴を開示する義務があるか、どのように対応すべきかを解説します。
資料(証拠)の開示義務?
不貞行為の証拠
不貞行為は密室で行われるため直接証拠は存在しないことが多いです。そこで、頻繁な電話、メールやSMSでの親密なやりとりなどを間接証拠として提出されることが多いです。しかし、不貞行為を行った二人の間のやり取りを請求者が取得することは簡単ではありません。
そこで、二人に対して、通信履歴の開示を要求されることがあります。このとき、「やましいことがなければ見せられるはずだ。」などといって、見せなければ不利になると伝えて開示を求められることがあります。
主張立証責任は請求者にある
不貞行為の主張立証責任は請求者にあります。請求される側が不貞行為の不存在を主張立証する必要はありません。このため、請求される側が、不存在を立証するために通信履歴を証拠提出する義務はありません。
交渉においては資料の開示義務はない
訴訟外の交渉においては、相手方に対して資料(証拠)を開示する義務はありません。このため、相手方から通信履歴を見せるように要求されても、これに応じる義務はありません。
裁判における資料提出義務
裁判においては、一定の要件の下で、文書提出義務というものが定められています。この要件を満たす場合には、相手方の要求に応じて、文書(証拠になりうる資料)を提出する義務があります(民事訴訟法220条)。この要件は次の通りです。
- 当事者が訴訟において引用した文書を自ら所持するとき(1号)
自らLINEの履歴を引用して不貞行為の不存在を主張したような場合です。普通は主張時に証拠提出するので、この条項に該当することは考えにくいです。 - 挙証者が文書の所持者に対しその引渡し又は閲覧を求めることができるとき(2号)
書類を預けているだけなどが考えられます。不貞慰謝料における通信履歴の場合にはあまり考えられません。 - 文書が挙証者の利益のために作成され、又は挙証者と文書の所持者との間の関係について作成されたとき(3号)
両者の間で作成された契約書などが該当します。LINEの履歴などの場面ではあまり考えられません。 - 一定の除外事由に該当しないとき(4号)
特定の除外事由が定められており、それに該当しない場合に認められます。
LINEなどの通信は、通信の当事者の間だけで、誰かに見られることを想定せずに行われているものなので、その履歴は除外事由に該当する可能性が高くなります。このため、訴訟においてもLINEの履歴の提出を義務付けられる可能性は小さいです。
まとめ
相手から通信履歴の開示を要求されてもそれに応じる義務はありません。
通信履歴自体が、高いプライバシー性を有するので、その開示については慎重に行いましょう。
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この記事の執筆者
寺岡法律事務所
弁護士 寺岡健一(大阪弁護士会)
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