裁判所からの書類を受け取らないとどうなる?送達の仕組みと無視した場合の不利益を解説

不貞慰謝料を請求された方へ

裁判所の書類を受け取らないとどうなる?不貞慰謝料の特別送達を無視するリスク

受け取りを拒否しても送達は完了し、訴訟は進みます。無視するメリットはなく、内容を知らないまま不利になるだけです。

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裁判所から特別送達が届き、「受け取らなければ裁判にならないのでは」と考えていませんか。それは誤りです。受け取りを拒否しても、差置送達・付郵便送達・公示送達といった方法で送達は完了し、訴訟は進みます。むしろ内容を知らないまま敗訴し、差押えに至るおそれもあります。送達の仕組みと正しい対応を解説します。

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結論
受け取りを拒否しても、差置送達・付郵便送達・公示送達により送達は完了します
送達が完了すれば訴訟は進み、反論しなければ相手の主張どおりに敗訴します
判決が確定すると、預金・給与・不動産が差し押さえられるおそれがあります

書類を無視することにメリットはありません。届いたら速やかに受け取ることが大切です。すべきことを見る

HOW SERVICE WORKS

送達の仕組みと法的効果

送達とは

送達とは、裁判所が訴訟に関する書類を当事者に届ける公的な手続きのことです。単にポストに届く一般の郵便とは異なり、民事訴訟法に基づいた正式な方法で行われます(民事訴訟法98条以下)。

送達の目的は、裁判の相手方に対して「訴訟が始まったこと」や「どのような請求がされているか」を確実に知らせることにあります。裁判を公正に進めるためには、双方の当事者が内容を把握し、反論の機会を持つことが欠かせません。そのため、送達は訴訟手続における最も基本的かつ重要なステップとされています。

送達の具体的な方法

送達にはいくつかの方法があり、状況に応じて使い分けられます。重要なのは、本人が受け取りを拒否しても、別の方法で送達が完了する仕組みになっているという点です。

交付送達(原則的な方法)

送達の原則的な方法で、送達を受けるべき者に直接書類を手渡す方法です(民事訴訟法101条)。裁判所の書類は通常、特別送達という書留郵便の形で届き、配達員が直接手渡しし、受領者は署名または押印をして受け取ります。本人が不在の場合は不在票が入りますので、再配達を依頼するか郵便局の窓口で受け取ります。同居の家族や従業員などが受け取ることも認められます(民事訴訟法106条1項)。

差置送達

送達を受けるべき者が正当な理由なく受け取りを拒んだ場合には、その場所に書類を差し置くことで送達が完了したとみなされます(民事訴訟法106条3項)。つまり、配達員が訪問した際に「受け取りません」と拒否しても、玄関先に書類を置くことで送達の効力が生じます。

付郵便送達

受取人が不在を繰り返すなど、通常の送達がどうしても完了しない場合には、裁判所の判断で「付郵便送達」が行われることがあります(民事訴訟法107条)。これは、裁判所が書留郵便で書類を発送した時点で送達が完了したものとみなす方法です。実際に届いたかどうかにかかわらず、発送した時点で効力が生じます。

公示送達

相手方の住所が不明な場合など、上記の方法では送達できないときに、裁判所の掲示板に一定期間掲示することで送達の効力を生じさせる方法です(民事訴訟法110条〜113条)。実際に書類を読んでいなくても、掲示から一定の期間が経過すれば送達が完了したものとして扱われます。

送達が完了すると訴訟が始まる

送達が完了すると、訴訟手続が正式に開始されます。これは、本人が実際に書類を読んだかどうかとは関係ありません。法律上、送達が完了した時点で「内容を知る機会が与えられた」(手続保証が与えられた)と評価されるためです。

送達が完了すると、裁判所が指定した期日(口頭弁論期日)が開かれます。この期日までに答弁書を提出し、相手方の主張に対して反論する必要があります。答弁書を提出しない場合には、被告が相手方の主張を認めたものとして扱われます。

受け取り拒否で送達を防ぐことはできない

「書類を受け取らなければ裁判が始まらないのではないか」と考える方がいますが、それは誤りです。先に説明したとおり、差置送達・付郵便送達・公示送達といった代替的な送達方法が法律で用意されているため、本人が受け取りを拒否しても、いずれかの方法で送達は完了します。

受け取りを拒否することで訴訟を回避できるわけではなく、むしろ自分が内容を知らないまま手続が進んでしまうという不利益を受けるだけです。

反論しなければ相手の主張どおりに敗訴する

送達が完了し、訴訟が始まった後に、被告が答弁書を提出せず、口頭弁論期日にも出頭しなかった場合には、原告の主張する事実を被告が認めたものとして扱われます。これを「擬制自白」といいます(民事訴訟法159条1項)。

擬制自白が成立すると、裁判所は原告の主張に基づいて判断を行いますので、原則として原告の請求どおりの判決が出ることになります。たとえば、不貞慰謝料として300万円を請求されている場合に何も反論しなければ、300万円の支払いを命じる判決が出る可能性が高くなります。本来であれば、慰謝料の金額について減額を主張したり、不貞行為の態様に関する事実関係を争ったりできる場合であっても、反論しなければその機会を失います。

敗訴判決が確定すると財産が差し押さえられるおそれがある

敗訴判決が確定した場合、原告は判決に基づいて強制執行の手続きを取ることができます。具体的には、預金口座、給与、不動産などの財産が差し押さえられる可能性があります。

判決が出た後に「知らなかった」「受け取っていない」という主張をしても、送達が適法に完了している以上、これを理由に判決の効力を否定することはできません。控訴期間を過ぎてしまえば判決は確定し、覆すことはできません。

「裁判所から書類が届いた…どうすれば?」とお困りなら内容を伺えば、答弁書の準備や今後の見通しを具体的にご説明できます。提出期限がありますので、お早めに無料相談をご利用ください。

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WHAT TO DO

裁判所から書類が届いたときにすべきこと

まず落ち着いて速やかに受け取る

裁判所から書類が届いた場合には、まず落ち着いて速やかに受け取ることが最も重要です。受け取りを拒否しても不利益が大きくなるだけで、メリットはありません。

内容と「2つの日付」を確認する

書類を受け取ったら、内容をよく確認してください。訴状には、原告が誰で、どのような事実に基づいて、いくらの請求をしているかが記載されています。また、第1回口頭弁論期日の日時と、答弁書の提出期限も記載されていますので、これらの日付を必ず確認してください。

提出期限までに反論を準備する(早めに弁護士へ)

訴状の内容を確認した上で、答弁書の提出期限までに反論の準備を進める必要があります。法律的な主張や反論は専門的な判断を要する場合が多いため、できるだけ早い段階で弁護士に相談されることをおすすめします。特に不貞慰謝料の請求では、慰謝料の減額交渉や事実関係の整理など、弁護士のサポートが有効な場面が多くあります。答弁書の提出期限は裁判所が指定した日であり、余裕を持って準備を進めることが重要です。

SUMMARY

まとめ

裁判所からの書類は、受け取りを拒否しても差置送達・付郵便送達・公示送達などにより送達が完了し、訴訟は進みます。反論しなければ相手の主張どおりに敗訴し、判決が確定すれば預金や給与の差押えを受けるおそれもあります。書類を無視することにメリットはありません。

一方で、「受け取らなければ何とかなる」と書類を放置してしまうと、内容を知らないまま手続が進み、本来できたはずの減額や反論の機会を失うことになりかねません。届いたら速やかに受け取り、内容と提出期限を確認したうえで、できるだけ早く弁護士へご相談ください。内容を伺えば、答弁書の準備や今後の見通しを具体的にお伝えできます。

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この記事の執筆者

弁護士 寺岡 健一
寺岡 健一てらおか けんいち
寺岡法律事務所/大阪弁護士会 所属

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