親権はどのように決まる?裁判所が重視するポイントは?

親権はどのように決まる?裁判所が重視するポイントは?

離婚に際して大きな関心事の一つが「親権を誰が持つのか」という問題です。

親権とは、子どもの利益を守るために、監護・教育を行い、財産を管理する権限であり義務です。
また、監護権という概念があります。これは、子どもの日常の生活全般の世話や教育を担う権限および義務です。
離婚時には合わせて単に「親権」といわれることが多いです。

2026年4月1日からは、共同親権が選択できるようになります。
このため、特別な事情がない限りは共同親権を選択することになり、どちらが監護権を持つかが重要になります。

このページでは、分かりやすくするために、一般的な用法に合わせて親権という言い方で解説をします。

親権を決める際の考慮要素

親権は本来、夫婦間の話し合いで決定しますが、合意できない場合には裁判所が判断します。
その基準となるのは「子の福祉」です。
つまり、どちらの下で育つことが子どもにとって最も健全で安定した成長につながるかが重要になります。

具体的には、次のような事情が総合的に考慮されます。

  • 育児能力:これまでどれだけ子育てに関わってきたか、今後継続して育児を担えるか
  • 生活環境:住居の安定性、生活リズム、周囲の支援体制
  • 面会交流への姿勢:もう一方の親との関係を適切に維持しようとするか
  • 子どもの意思:子どもがどちらとの生活を望むか(年齢や発達状況に応じて考慮)
  • 兄弟姉妹の扱い:基本的には同じ親の下で育てる方向が重視される

しばしば誤解されますが、経済力は決定的な要素ではありません。
養育費が適切に支払われることで補填されるはずだからです。

一方、離婚原因が不貞などであったとしても、原則として親権判断の決め手にはなりません。

男性は親権を取りにくいのか

実務上、幼い子どもの場合には母親の下での監護がより安定すると考えられやすい傾向があります。特に乳児期は母体との結びつきが強いことも考慮されます。
また、現実として、母親が育児を担っていることが多く、そのまま母親が親権者になることが多くなります。。

さらに、父親自身が子育てに十分に関わってこなかった場合、育児の大変さを知らないために、「自分にもできる」と考えてしまうことがあります。
裁判所は実際の関与度を重視するため、育児経験が乏しい場合は不利になりやすいです。

男性が親権を取るために必要なこと

父親が監護者となることを望む場合、重要なのは「実際に育児を担えること」を具体的に示すことです。
日常的にどれだけ子どもの世話をしてきたか、これからどのように育てられるかを明確に説明できる必要があります。

たとえば次のような点が問われます。

  • おむつ替えやミルク作りの経験はあるか
  • 食事や入浴、寝かしつけなどの生活習慣を理解し対応できるか
  • 保育園・幼稚園の送迎、医療機関の対応、遊びや外出の準備ができるか
  • 子どもの生活環境をどのように整えるか

これらを具体的に示し、日常的な関わりがあることを証明することが重要です。

まとめ

親権は、あくまでも「子どもの福祉」が重要です。
どちらが子どもにとって健やかな成長の場を提供できるのか、誰が継続的に育児を担えるのかが最も重視されます。
親としての姿勢や環境を整え、子どもの利益を最優先に考えることが何より重要です。