離婚を成立させるための条件は?民法で定められた離婚の理由

離婚は、夫婦双方の合意があればどのような理由でも成立します。
しかし、一方が離婚を望まず合意が得られない場合には、民法で定められた離婚原因が必要です。
民法第770条では、次の5つの法定離婚事由が定められています。


不貞行為

いわゆる「不倫」にあたります。配偶者以外の人と自由な意思で性的関係を持った場合に該当します。
単に異性と食事や旅行に行っただけでは不貞行為とはいえません。また、相手から強制された性的関係も該当しませんが、逆に自ら相手を強要した場合は不貞行為と認められます。

不貞行為を理由に離婚を求める場合、立証が大きなポイントになります。メールやLINE、SNSのやり取りなどは「間接的な証拠」として有力ですが、裁判で確実に認められるためには、探偵による調査報告書やラブホテルへの出入り写真などの客観的証拠が必要になります。


悪意の遺棄

夫婦には「同居」「協力」「扶助」の義務があります。正当な理由なくこれらの義務を果たさない場合が「悪意の遺棄」にあたります。
たとえば、配偶者に無断で家を出て生活費を一切渡さない、家庭を顧みず帰宅しないなどが典型例です。
一方で、単身赴任など合理的な事情がある場合には該当しません。行動の理由が社会的に正当といえるかどうかが判断のポイントになります。


3年以上の生死不明

配偶者の生死が3年以上わからない場合も離婚原因となります。
単なる「連絡が取れない」では足りず、生死が不明な状態であることが必要です。
現代社会ではあまり想定しにくい条項といえます。


強度の精神病で回復の見込みがない

配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがなく、夫婦の共同生活が著しく困難になっている場合も離婚事由になります。
認知症などでこれによる離婚を認めてしまうと看護者がいなくなってしまうため、裁判所が認めない場合も多いです。
「回復の見込みがない。」という要件が必要であるため現代社会では認められにくい条項といえます。


婚姻を継続しがたい重大な事由

上記4つの理由に当てはまらなくても、「婚姻関係がすでに破綻し、回復の見込みがない」場合には離婚が認められます。
この「重大な事由」には、さまざまなケースが含まれます。たとえば、

  • 暴力(DV)
  • 宗教活動への没頭で家庭生活が維持できない
  • 働かずに浪費やギャンブルを繰り返す
  • 長期間の別居が続いている
  • 性格の不一致により共同生活が不可能になっている

「性格の不一致」という感情的な表現ではなく、「夫婦の協力義務が果たされていない」「婚姻関係が回復困難な状態にある」といった法的に主張する必要があります。