離婚にはいくつかの方法があります。
主なものは「協議離婚」「調停離婚」「裁判離婚」であり、それぞれ手続きの進め方や必要書類、注意点が異なります。
以下では、それぞれの離婚方法の特徴を分かりやすく解説します。
協議離婚 ― 話し合いで成立する最も一般的な離婚
協議離婚とは、夫婦が話し合いによって離婚に合意し、市区町村役場に離婚届を提出することで成立する、いわゆる「普通の離婚」です。
離婚の大部分がこの協議離婚で行われています。
協議離婚は当事者の合意があれば成立するため、裁判所の関与は不要です。
養育費・財産分与・慰謝料などの取り決めがなくても離婚届を提出すれば離婚は成立しますが、これらを曖昧なまま離婚すると、後に紛争や生活上のトラブルが発生するおそれがあります。
そのため、離婚の条件を明確に定めた「離婚協議書」を作成し、できれば「公正証書」にしておくことが望ましいです。
公正証書にしておくと、将来養育費が支払われない場合に強制執行を行うことが可能となります。
条件の書き方や文面には法的な注意点が多いため、弁護士に依頼して作成するのが安全です。
調停離婚 ― 裁判所で第三者を交えた話し合い
協議での合意が難しい場合、次の段階として「調停離婚」があります。
調停離婚は、家庭裁判所に申立てを行い、裁判所の調停委員を交えて話し合いを進める方法です。
調停委員が双方の意見を聞き取り、合意点を探ることで、冷静かつ合理的な話し合いが期待できます。
調停離婚もあくまで「話し合い」に基づく離婚であり、当事者が合意に達した場合にのみ成立します。
合意が成立すると、裁判所が作成する「調停調書」にその内容が記載され、これが確定判決と同様の効力を持ちます。
調停成立後、調停調書を添付して離婚届を提出することで、正式に離婚が成立します。
また、調停は後述の裁判離婚に進むための前提手続でもあります。
裁判で争う場合も、まずは必ず調停を経なければなりません。
調停の場では、主張を整理し、法的な視点で適切な主張を行う必要があるため、弁護士に依頼して臨むのが一般的です。
審判離婚 ― 例外的な離婚形態
審判離婚は、調停の中で離婚自体には合意しているものの、条件の一部についてだけ折り合いがつかない場合に、裁判所が職権で離婚を成立させる制度です。実際には極めて稀であり、離婚方法として特に意識する必要はほとんどありません。
審判離婚を申し立てる機会もないと考えて大丈夫です。
裁判離婚 ― 法律上の離婚原因に基づく判決による離婚
調停を経ても話し合いがまとまらない場合、最終手段として「裁判離婚」に進みます。
裁判離婚は、家庭裁判所に訴えを提起し、裁判官の判断によって離婚の可否が決定されるものです。
裁判離婚では、単に「気持ちが冷めた」だけでは認められません。
民法770条で定められた離婚原因(例:不貞行為、悪意の遺棄、3年以上の生死不明、回復の見込みのない精神病、その他婚姻を継続し難い重大な事由)に該当することを主張・立証する必要があります。
そのため、証拠の収集や法的な主張整理が不可欠であり、弁護士による代理が実質的に必須となります。
