金融庁の方針と経営者保証ガイドライン:中小企業の対応策を解説

金融庁が示す「経営者保証」見直しの方針とは?

金融庁は、金融機関が経営者保証を要求する場合、保証を要求する理由の明示や保証を不要とする条件の説明を義務付ける方針を発表しました。この方針は、以下のような目的を持っています
起業の促進
・事業承継の円滑化

これにより、中小企業が経営者保証に縛られず、積極的な経営や事業の引き継ぎがしやすくなることが期待されています。

経営者保証とその背景

経営者保証とは

 中小企業が金融機関から融資を受ける際、経営者自身を連帯保証人にすることが一般的です。これは主に次の目的があります
・経営者の放漫経営を防止する
・会社財産の不正使用を抑止する

経営者保証には経営者の行動を監視する機能を持たせることで、金融機関が融資を行いやすくなるという側面があります。

一方で、経営者保証は次のような負の側面をもたらしています
・経営者が投資に消極的になる
・起業や事業引き継ぎが難しくなる

事業に失敗すれば借金苦に陥ってしまうという状況を作ることで、リスクを負ってでも挑戦するという選択を取り難くなっています。

経営者保証ガイドラインの概要

経営者保証の悪影響を抑えるため、金融庁は「経営者保証ガイドライン」を策定し、一定の条件を満たせば保証を求めないよう金融機関に要請しています。
具体的な条件は以下の3つです:

・法人と経営者の区分・分離が明確であること
・法人の資産・収益力で返済が可能であること
・適時適切な財務情報の開示が行われていること

これらの条件を満たすことで、経営者保証の回避が可能になります。

経営者保証ガイドラインの実情と金融庁方針の意味

 現状では、ガイドラインに基づく運用が進んでいないのが実情です。金融機関が理由なく経営者保証を求めるケースが多く見られます。

金融庁の新方針の意義
今回の方針の明示により、金融機関は経営者保証を求める際に理由を明示する義務が生じます。これにより、不適切な経営者保証要求の抑止が期待されます。

中小企業として取るべき具体的対応

金融機関の「理由説明」への対応

金融機関から経営者保証を求められた場合には、「理由の説明」を求めましょう。
その上で、経営者保証を求める理由が示された場合には、次の対応が重要です
・理由の適切性を検証する
・事実誤認があれば訂正を求める
・融資申請段階からガイドラインを意識した融資申請書を作成する

経営改善とガイドラインへの適合

経営者としては、ガイドラインの要件を満たすための経営基盤を構築する必要があります。
特に、事業承継が関わる場合、次の準備が求められます
・法人と経営者個人の財産の分離
・公表を意識した適切な財務情報の管理
・経営基盤・収益力の向上

いずれも、会社が成長するためには重要な要素ですので、専門家のサポートを受けながら少しずつ実現していきましょう。

まとめ:経営者保証からの解放が中小企業の未来を拓く

金融庁の方針を受け、経営者保証ガイドラインの遵守は今後ますます重要になります。
・起業のハードルを下げる
・事業承継を円滑化する

中小企業が適切に対応することで、事業の成長や次世代へのスムーズな事業引き継ぎが可能となります。

会社から経営者保証を外す要望を出さないのに、金融機関から外そうと言ってくれることはありません。
まずは、会社から金融機関あてに経営者保証を外すことを要望してみましょう。