投資の効率性の分析

機械購入や工場建設などの投資を行う場合には、投資を行う場合と行わない場合のどちらが得であるか、という判断を行う必要があります。

この判断方法は複数ありますが、比較的簡便な正味現在価値法(NPV法)を紹介します。

計算方法を紹介するため以下のような投資を想定します。

機械を500万円で購入する。
機械の寿命は5年である。
機械の導入によって
 売上が100万円増加する。
 人件費が50万円減少する。
 原材料費が40万円増加する。
資本コストは5%とする。

⑴ 投資金額と毎年のキャッシュフロー増加額の把握

設例では、機械の購入代金500万円が投資金額になります。

毎年のキャッシュフロー増加額は、
 100万円+50万円-40万円=110万円
となります。
(実際にはさらに税金を考慮する必要があります)。

⑵ 現在価値への換算

資金を投資に回さない場合には、その資金は別の方法で運用して利益を得ることができます。
また、資金を借り入れで調達した場合には、利息を支払う必要があります。
この本来得られるはずであった利益や支払う必要のある利息を、投資のコストとして把握したものが資本コストです。

将来の利益からこの資本コストを引くことで、将来の利益を現在価値に換算します。

資本コストが5%の場合には毎年の利益の現在価値は次のようになります。
1年目:110万円÷1.05=105万円
2年目:110万円÷1.052­­=100万円
3年目:110万円÷1.05=95万円
4年目:110万円÷1.05=90万円
5年目:110万円÷1.05=86万円

これをすべて足すと476万円になります。
これが将来の利益を現在価値に換算したものになります。

この現在価値に換算された金額を正味現在価値といいます。

⑶ 投資金額と正味現在価値の比較

最後に投資金額と正味現在価値を比較します。

当然、投資金額よりも正味現在価値の方が大きい場合に投資を行った方が得であると判断します。

設例の事案では、投資金額が500万円に対して、正味現在価値が476万円であり、投資金額の方が大きいため、投資を行わない方が良いという判断になります。